英仏海峡、北海の名物魚といえば、タラ科の魚メルランmerlan。おいしい白身魚だが、小骨が多く身がくずれやすいせいか、価格はキロ5ユーロ前後という安さだが、あまり人気がない。こんなふうに身が柔らかい魚は、ソテーしたりするとバラバラ死体になってしまう。油で揚げるか、ムニエルにするか、ホイルの包み焼きが調理法としておすすめ。目がキラキラしていて、身に弾力があるものを選びたい。揚げる時は、一人一尾、250グラム前後のメルランがほしい。魚屋に頭とハラワタをとってもらう。
家に持ち帰ったらよく洗ってクッキングペーパーで丁寧に水気をぬぐう。メルランのちょっと気になる魚臭さを消したい人は、オーブン用のバットなどに牛乳を入れて塩、コショウし、魚を数分浸すといい。再びクッキングペーパーで魚の表面をぬぐってから小麦粉をまぶす。フライパンに、魚が半分以上かぶる量の油を入れ、中火にかける。油が十分に熱くなったら、魚の余分な小麦粉をはたき落としてからそっと入れる。4尾なら2回に分けて揚げること。2尾以上だと、油の温度が落ちてしまうし、引っくり返しにくい。片面にきれいなキツネ色がついたところで引っくり返す。揚げ時間は全体で7、8分くらいだろう。身がこわれやすいので、網しゃくしを使って慎重にとり出して、クッキングペーパーや金網の上に置いて油気を切る。そして塩、コショウ。揚げている間に目盛りを70度に合わせたオーブンに皿を入れて熱くしておくといい。
その皿の上にメルランをそっとのせ、レモンを添える。こんなふうに魚を丸ごと一尾盛り付ける時は、魚から頭や骨がはずしやすいように皿にスペースを残しておくことが大切だ。ボクはマッシュポテトやラタトゥイユなどの付け合わせを別の小皿に入れて出すことにしている。
揚げ魚ならではの香ばしさ、柔らかな白身の繊細なうまさに思わず拍手。ワインはあまり辛口でないBourgogne aligotéのような白ワインを選びたい。(真)
材料(4人分):メルラン4尾、牛乳500cc、レモン1個、小麦粉、油、塩、コショウ
まだまだメルラン料理
今回のレシピの揚げメルラン、倍の量作っておく。残ったメルランをほぐす。これをバター炒めしたエシャロットと混ぜ合せ、オーブン皿に敷く。その上をマッシュポテトで覆っておろしチーズを振りかけ、オーブンで焼き色がつくまで焼くだけだ。生より揚げメルランを使った方がおいしくなる。
身がこわれやすくてもリゾットなら平気。いつものごとくチキンのダシでリゾットを作っていき、でき上がるまで5分というところで、小さく切り分けたメルランと薄く切ったマッシュルームを混ぜ入れる。最後におろしたパルメザンチーズをたっぷり加える。