芸術家たちとの出会いや交流、自らの子供たちとの関係…

photo : Lot
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 数年前から多くの私立劇場が、映画上演のように一晩に19時、21時というふうに二つの演目を組むようになった。そうなると最小限の舞台装置に役者の数は1人か2人、という制限が出てくる。 しかも料金は映画料金の数倍なので選んで観に行かなければ後悔する。実際19時の芝居に出かけて、後悔することも度々だった。
 ヴェネチアで訪れたことのある、規模は小さくても素敵な美術館〈Peggy Guggenheim Collection〉。そのペギー・グッゲンハイムについての芝居か、とあまり期待していなかったのがよかったのだと思う。1920-70年代までの美術界で特筆された芸術家たちを支援しつつ自らのコレクションを築いていったペギーという女性の波らんに富んだ人生が、ヴェネチアでの彼女の日常の断片の中で語られていく。いくつかのイベントが、暗転を重ねながらステファニー・バタイユという若い役者(その老けぶりはなかなかのもの)によって披露される。グッゲンハイムという億万長者の「家」に生まれ、タイタニック号の難破で父親を亡くし、父の富を受け継いだペギーが語る思い出。ジョイス、ベケット、デュシャン、ミロ、ジャコメッティ、タンギー 、エルンストなどの芸術家たちとの出会いや交流、自らの子供たちとの関係…男性社会の中で戦前戦後を生き抜き、自らの名前を刻んだ女性の誇りが彼女の言葉の中にはある。それは一種の自慢ではあるけれど、その奥底にある彼女の真摯な部分が私の心に触れた。
 結論は、19時の回と侮るべからず。一人芝居を感じさせない演出と、照明の素晴らしさに今回はうなってしまった。ラニー・ロバートソン作、クリストフ・リドン演出。(海)
Petit Montparnasse Paris : 
31 rue de la Gaîté 14e 01.4322.7774
火-土19h、日15h。10€-30€。

Femme face à son miroir



 

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