ヴォージュ広場に近い袋小路にあったレストラン〈L’Impasse〉の得意料理は、昔風子牛のブランケットBlanquette de veau à l’ancienneだった。ブランケットには肩肉?pauleを使うのがふつうだが、〈Impasse〉ではバラ肉tendron。とろけるような風味、この店に通ったというメグレ警視もこの一品のファンだったに違いない。 バラ肉だけでは脂っぽい、というなら、肩肉と半々でもいい。1キロ買ってきて角切り。アバラ肉は骨をつけたままです。ココットのような厚鍋に肉を入れ、それがすっかりかぶるように水を張って中火にかける。沸騰してきたらアクをとり、輪切りにしたニンジン、丁字2本を刺したタマネギ、セロリの茎入りのブーケ・ガルニ、塩大さじ1杯加える。再沸騰したら弱火に落とし、軽く塩、コショウし、フタをし約1時間半煮込む。この間にマッシュルームの下準備。石づきをナイフで切り取り、さっと洗って水気をクッキングペーパーでよく吸いとったら、フライパンに油をとって炒める。マッシュルームから水気が出ないように強火。5分ほどで軽く色がついたら準備完了。小さな白い玉ネギがあったら、軽くバター炒めしてから少量の水で下煮する。
1時間半たったらブーケ・ガルニ、丁字が刺してある玉ネギを取り出し、マッシュルームと小さい玉ネギを加える。もう20分ほどたったら、柔らかくなった肉と野菜をこわれないように注意深く取り出す。煮汁にバター大さじ3杯と少量の水で溶いた小麦粉大さじ3杯を混ぜ入れる。ボウルに卵の黄身1個をとってよくほぐし、牛乳大さじ4杯と煮汁大さじ2杯を加えて混ぜ合わせたら、沸騰している煮汁に一気に混ぜ入れ、泡立て器でよく混ぜ合わせれば、明るいクリーム色のソースになるだろう。沸騰しそうになったら弱火に落とし、肉とニンジンを戻し、塩とコショウで味を調える。最後にレモン半個分の搾り汁を加えればでき上がり。(真)
4、5人分:子牛のアバラ肉1キロ、ニンジン4本、マッシュルーム300グラム、あったら小さな白玉ネギ10個、丁字2本を刺した玉ネギ1個、セロリ入りブーケ・ガルニ、卵黄1個、小麦粉、バター、油、塩、コショウ