オッフェンバックが作曲したオペレッタ『Belle-Hélène 美しきエレーヌ』は19世紀末のパリで大当たり。現在以上に活気を呈していたグラン・ブールヴァールに並ぶレストランの料理にも「Belle-Hélène」の名が付けられた。「Poire Belle-Hélène」は、砂糖煮した洋ナシにバニラアイスを添え、温かいチョコレートソースを添えたもの。ふつう、このデザートにはウイリアムス Williamsという種類のナシを使うのだが、やや大きめのコミス Comiceでもおいしくできる。ナシは煮くずれしないように完熟前のものを選ぶこと。
まずナシを煮る薄いシロップ作りだ。鍋に水1リットルをとり、白砂糖を加える。バニラビーンズはいつものごとく二つに割って種をかき出し、鍋に入れる。さやも忘れずに入れること。粉ではなく棒状のシナモンも加え、中火にかける。沸騰してから15分は煮てバニラやシナモンの香りを引き出すことにしたい。
その間にナシの皮をむき、尻の方をちょっと輪切りにして最後にすわりがいいようにしておく。別に芯をとらなくてもいいが、おおきめだったら二つに切り分けて芯をとる。
シロップにナシを入れ、再沸騰したら弱火に落とし15分ほど煮る。火から下ろしてそのまま冷まし、少なくとも半日は置いてナシにおいしいシロップを十分にしみ込ませたい。ただし、
食卓に出す30分前にナシをざるにでもとって、盛り付けた時にあまりびしょびしょしないように気をつける。
チョコレートをできるだけ細かくくだいてから湯せんにかける。すっかり溶けたら、好みの柔らかさになるまで生クリームを適量加えてよく混ぜ合わせ、湯せんにかけておく。
盛り付ける器(透明なガラス製がきれい)にまずバニラアイスを二玉ほど置き、それにもたせかけるようにしてナシを立てる。温かいチョコレートソースは、ナシの上からかけてもいいが、ソース入れに入れて別に添える方がいいかな。
美しきエレーヌのように、見た目といい味といい、あでやかなデザートです。(真)