この美術館の歴史は意外に古く、パリ市所有の美術工芸品を一般公開するために門戸が開放されたのは1880年のこと。そして16世紀に建てられたカルナヴァレ館に加えて、1980年代末に隣りのル・ペルチエ・ド・サン=ファルゴー館にまで展示スペースが広げられ、現在では100近い展示室を持つ大きな美術館となっている。
入り口が団体で混んでいたので出口から入ってくださいと言われ、順路を逆にたどることになった。たくさんの看板が展示されている部屋で娘と一緒に「これは何の店、あれは?」と説明を丁寧に読みながら進む。刃物を研ぐ職人の看板は大きなハサミ、木の板に彫られた豚の親子は19世紀の豚肉加工職人の看板…といろんな職業があったんだね、と話しながら階段を上るとルイ16世とルイ15世の時代のサロンや小部屋が現れる。家具や調度品にはあまり目もくれないくせにマリー・アントワネットの彫像にはじーっと見いる娘。小学校で18世紀末までの歴史を習った娘の興味対象は、革命についての展示があるスペースなのだけれど、そこへたどり着くまでには数多くの展示室を通り、階段を上り、階段を下り…とすでに何キロも歩いた気分になる。 19世紀のレアールの様子、優雅なマダムたちが描かれた絵画には目もくれず、アールヌーヴォーの展示に少し興味を示しつつようやくお目当てのフランス革命へ。
バスティーユろう獄のミニチュア、人権宣言の大きなパネル、ギロチンを描いた絵画など。テンプル塔に幽閉されたルイ16世のコンパスや分度器をじーっと見つめ、「使い易そうでいいなぁ、これ」とうらやましがる娘。(海)
Musée Carnavalet Histoire de Paris
Adresse : 23 rue de Sévigné, 75003 parisTEL : 01.4459.5858
URL : http://www.carnavalet.paris.fr
火-日10-18h。月休。常設展示は入場無料。