ゲリラ的作品の迫力に感動。 “Donoma”

 

 11 月23日に公開された『Donoma』の迫力に圧倒された。監督のジン・カレナールはハイチ生まれで今年30歳。処女作。映画から受ける第一印象は、アブデラティフ・ケシシュの傑作『L’Esquive』やローラン・カンテのカンヌ・パルムドール受賞作『パリ20区、僕たちのクラス』に似た「現場に立ち会ったカメラ」的な迫真のドキュメンタリーテイスト。主要登場人物は、無名の俳優によって演じられる7人。職業高校のスペイン語の女教師が態度の悪い男子生徒を呼びつけて説教しているうちにセクシャルな関係が芽生え…。その子の女友だちは家でがんを患う姉の看病をするうちに宗教的な霊感を感じ、いつもRERの車内で見かけるキリスト的風貌の青年に接近…。一方、失恋体験から脱したい若い娘は、目をつぶって開いた瞬間に目に入った人と付き合うという賭けを実践。その彼女をすんなり受け入れた男は、ヒモ的生活をしてきた過去を回想…。その彼を最近まで養っていたのは前述の女教師の仲良しだった。といった具合に話はどこかでつながっているが、かといって一つのエピソード自体に他のエピソードが絡むことはなく各々独立した話として進行する。野心作だ。
 野心作というのは、物語や構成の大胆さやドキュメンタリーテイストがもたらすナマな感触だけでなく、この映画の製作態勢にもいえる。製作費150ユーロ というのもこの映画の売りだ。つまり意気込みのある俳優やスタッフが監督の下に集まって情熱で作り上げた、これは自主製作映画。日本では自主製作映画界から新しい才能がどんどん出てきて日本映画を活性しているが、文化保護政策が行き届いて(行き届き過ぎて?)そのシステムの恩恵の中でしか動かないフランス映画界において、ゲリラ的に作ってしまった作品が堂々一般劇場公開というのは稀にみる快挙だ。応援しよう!(吉)