2000年以降はベビーブームで、幼児向けの絵本が元気です。
セーヌ・サン・ドニ児童書見本市のディレクター、シルヴィーさんにインタビュー。
昨年は15万人の入場者を集め大盛況。欧州でも指折りの児童書見本市が今年もやってくる。パリに隣接するモントルイユの会場は、駅から近くアクセスも便利。期間中は作家やイラストレーターによるサイン会やイベント、展示が目白押しだ。330以上の出版社や関連団体が参加し、もちろんその場で買い物もOK。児童書の現在が手に取るようにわかる大見本市に、本好きならば老若男女問わずに駆けつけたい。ディレクターのシルヴィー・ヴァサロさんにインタビューしてみた。
今年の児童書見本市について聞かせてください。
今年のテーマは〈サーカス〉。サスペンスや不安、感動をあおるサーカスの世界は、児童書と共通点が多いのです。毎年テーマに沿った特別展示が好評ですが、今年は有名イラストレーター、エマニュエル・ウダールがデザインしたフリークス用の奇妙な衣装が目玉。また児童書に授与する賞の名称が変わりました。映画はセザール、演劇はモリエール、音楽はヴィクトワールとう賞が有名ですが、これからは「児童書はペピット賞(pépitesは金の小さな塊)」と覚えてください。
フランスにおける児童書の傾向
見本市のディレクターに就任し今年で10年目ですが、この間常に市場の発展を肌で感じてきました。2000年以降はベビーブームで幼児向けの本が元気ですし、以前は品薄感もあった思春期向けのタイトルも急増。アート関連の書籍や日本発の「MANGA」も人気。児童書と一口で括れないほどジャンルが拡大しました。昨今は絵本作家エルヴェ・テュレによるタブレット型パソコン用絵本など、デジタル分野の革新も目が離せません。
おすすめの作家は?
幻想的な世界観で知られた作家ピエール・ボテロがバイク事故で亡くなったのは残念。『Sur l’île des Zertes』などで知られるクロード・ポンティ作品はもはや定番の域。個人的には映画監督でもあるクリストフ・オノレ作品『Tout contre Léo』や、マリー・デプレシャンの本が好き。彼らは子供の感情を描くのに長けていて、作品に嘘がない。お説教臭くもないですし。
良い児童書と出会うには?
まず私たちの見本市に足を運んでください。作家たちとも直接出会える好機です。見本市以外の期間なら、受賞リストを参考にするか、良い本屋を見つけておすすめを聞くこと。私はサンジェルマン・デ・プレの本屋〈Chantelivre〉や〈La Hune〉をのぞきます。A.L.S.J(児童書専門書店アソシエーション)のサイトwww.alsj.citrouille.net/も参考になりますよ。
27e Salon du livre et de la presse jeunesse en Seine-Saint-Denis
11月30日から12月5日まで開催。
Espace Paris-Est-Montreuil, 93100 Montreuil
メトロ9番線Robespierre駅徒歩3分。
入場料4?、18歳以下は無料。
11月30日(水)9h-18h、12月1日(木)9h-18h、
12月2日(金)9h-21h30(16h30以降は入場無料)、
12月3日(土)9h-20h、12月4日(日)10h-19h、
12月5日(月)9h-18h。