同情や慈悲を拒んで痛快。 “Intouchables”

 今回は、ウェルメイドな喜劇で大ヒット間違いなし、拡大ロードショーで遠くまで足を運ばなくても近所の映画館で観れる『Intouchables  最強のふたり 』を紹介。監督はエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュの幼なじみのコンビ。これが4本目の共同監督作品。06年公開の『Nos jours heureux  僕らの幸せな日々』という夏の学童キャンプcolonie de vacancesを舞台にした作品がドタバタを超えて心に残ったので監督名を記憶していた。『最強のふたり』は二人の「社会ののけ者」が主人公。一人は事故で頭部以外全身不随になってしまって人手を借りないと生活できない肉体的ハンディを背負った大金持ちの貴族。もう一人はシテ(郊外のスラム化した団地)育ちの黒人青年で社会的ハンディを背負っている。介護人募集への   応募者の中から、失業保険をもらうために職探しをしている証明書だけが欲しくてやって来たドリス(オマール・シー)に、白羽の矢が当たってしまう。もちろん資格も経験もない。フィリップ(フランソワ・クリュゼ)は同情や慈悲が大嫌いだから彼を選んだ。この二人の全面的な落差が本作の笑いのベース。互いにとって相手のすべてが新鮮、双方の常識は打ち破られ、破天荒な日常が始まる。偽善的でない関係が生まれ、無二の親友のようになってゆく二人。映画自体も同情や慈悲を拒んで痛快。ずっと笑いっぱなしだった。 
 トレダノ=ナカシュのコンビ監督の映画は、いつもいわゆるクリシェ(よくあるパターン)に沿っていながらも、その先にある何かまで観客の心を運んでくれる。異質なものが衝突して最強のものになる。他者の介入を許さない結束が生まれる。二人だけの世界は本当に楽しそう。理想論に思えるけど、この物語は実話。本作は今秋の東京国際映画祭コンペ部門のフランス代表。(吉)