テレマークは雪山で最も自由度が高いスタイルだ。
テレマークスキーの先生、イヴァンさん。元ラ・クルザ・スポーツクラブのディレクターで、あらゆるレベルのコーチングを行ってくれる。
スキーの最も古典的なスタイルであるテレマークスキーが近年注目を集めている理由は、冬山での移動手段としての本質的機能と、近代ゲレンデスキーが失ってしまった「自由」を取り戻すためではないだろうか。リフトに乗り、決められたコースを順番に滑ることに満足できず、魅力的な斜面を発見し、自らの責任で安全を判断し、山に登り、新雪の中、白い煙をあげて滑降する…。その瞬間には、雲の上を飛ぶような錯覚にとらわれ、大自然の中で至福の自由を体感できる。ダイナミックでエレガントなそのスタイルは、高速ターンのダウンヒルでも、ふかふかの深雪でも安定する。もちろん乗りこなすためには技術が必要なので、まずはゲレンデでテレマークスキーの練習をしてみよう。いい先生に教えてもらえば、あっという間に上達。そこでフリースタイルスキーの本場、アメリカでの経験が豊富なイヴァンさんにコンタクト*。専用スキーはラ・クルザ中心部にあるレンタルショップ〈Le Schuss〉*へ。
これまで慣れ親しんだアルペンスキーとの大きな違いは、ターン時の板のポジションが逆になること。谷側が前、山側が後ろにずれる。目線を遠くに定め、ダンスのように軽やかに、リズミカルに。
(4)までをマスターできれば、深雪からコブ斜面まで、とことん遊びつくすことができるのだ! 前に出した足に「滑り」の感覚が強く伝わり、全身を使ったダイナミックな運動がポイントになる。足の幅が大きく取れるので、慣れれば高速でも安定する。
バックカントリーやオフピステに行く際は、必ず地元のガイドと一緒に行くこと! ゲレンデ以外のテレマークスキーは雪崩(なだれ)avalancheの危険があります。(高)
撮影協力:Pierre Brazier
(1)目的の方向をしっかり意識して、最初のステップ。息を吐きながら、前足に加重していくと感覚がつかみやすい。前に出した足のバランスで、スピード、方向を操作。
(2)山側のストックをつかないよう、腰の位置にしっかりホールド。谷側の前足だけで頑張ってコントロールしよう。ヒザがつくまで腰を落とすとカッコイイ。
(3)思い切って山側の足を後ろに引くとうまくゆく。谷側のストックは常に前を捉えるように。
(4)ストックをついた反動で左右の足を入れ替えてクイックターン!
約60年前の木製のスキー(上)と現代のテレマークスキー(下)。基本的な構造は同じだが、大きな相違点は、高度に発達したブーツ。軽くて柔らかいのにがっちりホールド。
歩くことも想定して作られているので、かかとを浮かすことができる。片膝をつくようなスタイルでターンする。坂を登る時には「シール」と呼ばれる滑り止めを板に装着。後ろにすべらない。