〈心のレストラン〉に頼る人が増える一方だ。

 1985年9月、人気絶頂のコメディアン、コリューシュは、ラジオのEurope1で「ちょっとしたアイデアがあるんだ。毎日2000から3000食を提供できるようなレストランを作ったらどうかな」と語り、冬の間、失業者や低収入の家族などに無料で食料を提供することができる〈Restos du cœur〉を立ち上げた。バイクで事故死する9カ月前のことだった。この最初の冬、〈心のレストラン〉にはボランティア5000人が参加、850万食分を提供。
1986年からは、EUから援助が出ることになり、1988年には、個人の寄付金はその半額が税金から控除されるという「コリューシュ法」が施行され、寄付金が急増する。1989年には、歌手ジャン=ジャック・ゴールドマン が音頭取りになって〈Les Enfoirés(コリューシュが好んで使ったコトバで「ひどい奴ら」という意味)〉が初の国内ツアー。有名ミュージシャンたちがボランティアとして歌うこのコンサートは1992年以来年中行事になり、その興行収入とCDの売り上げは、〈心のレストラン〉の重要な財源を占めている。1990年からは、失業者たちを就職までバックアップするサービスが開始された。1995年には、パリ市内にホームレス向け緊急宿泊施設がオープン(現在のベッド数248)。最近では、全国98カ所で温かい食事も配っている。また一食の内容も栄養が偏らないように改善されてきた。
 2009-2010年度の〈心のレストラン〉の数字を見ると、食品を無料で配給するセンターは全国2056カ所、そのサービスを受ける人は83万人,ボランティアは5万8千人、そしてなんと1億300万食分を提供(毎年15%増で、創設当時と比べると10倍以上)。フランスの深刻な現実を反映して、就職していても〈心のレストラン〉のサービスを必要とする人も増えているという。
〈心のレストラン〉の財源の40%以上は寄付金でまかなわれている。2003年に改正された「コリューシュ法」では寄付金の75%が税申告から控除されることになり、同協会のサイトからも寄付できる。
www.restosducoeur.org