Ceviche de cabillaud
フランス人の間でも、新鮮な魚を生で食べる習慣が少しずつ定着してきているようだ。ビストロでも、白身魚のタルタルステーキもどきに人気があるし、この前はなじみのワインバーで真ダラのセヴィッチェが出てきて、とてもおいしかった。暑い日には気のきいたアントレになるだろう。セヴィッチェは、4千km以上の海岸線を持つチリに誕生し南米全体に広がった一品。新鮮で、身の締まった白身の魚ならタイでもスズキでもアンコウでもおいしくできる。
真ダラは、すでにおろし身にしてあるものよりは、丸ごとのものを適当な大きさに切ってもらって、おろして皮をはいでもらうことにしたい。まず、このタラをマリネする漬け汁を準備。おろし身500グラムだったら、ライム3、4個を搾る。ライムがなかったらふつうのレモンでもいいけれど、これぞ南米! といった風味は出ません。このライムジュースをボウルにとり、ここに牛乳を加え、塩、コショウを振り入れる。南米ではかなりの量の唐辛子を、種をとってから小口切りにして加えるのだが、子供たちやフランス人は辛いのに弱いので、ボクはタバスコを数滴落とすだけにする。
真ダラは、さいの目に切る人もいるが、ボクはそぎ切りにする。これをライムソースに加えて丁寧に混ぜ合わせ、魚の厚さ次第だが20分から30分くらい冷蔵庫に入れて冷たくしておく。あまり長くつけ込むと、魚の芯までライム風味がついてしまい、歯ごたえがなくなってしまう。
この間に紫タマネギを薄い輪切りにして、冷水にさらしておく。ライム1個も薄い輪切り。パセリあるいは好みでコリアンダーの葉はみじん切り。魚を冷蔵庫から出して、各人の皿に盛り付け、紫タマネギとパセリを散らし、ライムの輪切りを飾る。シーズンだったら、トウモロコシを丸ごとゆで上げてから二つに切ったものでも添えれば本格的だ。ゆでたサツマイモも悪くない。一緒に飲むのは、ラム酒でもいいし、サンセールのような辛口の白でもいいけれど、おすすめはオルヴァルのようなベルギー産のトラピストビール。うまいよ!(真)
材料(4人分):真ダら400~500グラム、ライム5個、紫タマネギ2個、牛乳大さじ2杯、パセリ、唐辛子(タバスコソース)、塩、コショウ