●Chopin à Paris, l’atelier du compositeur
「フレデリック・ショパン、39歳の若さでこの世を去った作曲家でピアニストでもあった。ポーランド生まれ、父親はフランス人。多くのピアノ曲を作曲した」これが、オーディオガイドを聞きながら展覧会を熱心に見て娘がとったメモの一部。ショパン生誕200年で、数々のイベントが開催されている。6月6日まで続くこの展覧会は、ショパンの39年の生涯の中で一番重要な部分を占めたパリでの生活と創作に焦点をあて、ショパンが愛してやまなかったプレイエルのピアノ(音楽博物館所蔵)、国立図書館音楽部門が持つショパン直筆の楽譜やショパンが校正した印刷楽譜…など貴重な資料やオブジェが一堂に集められていることだろう。
ショパンが生きた時代はピアノという楽器が大きな進化を遂げた時代だった。18世紀末まで主流だったチェンバロがピアノに座を奪われ、ショパンがパリへたどり着いた1831年当時のパリには、90もの製造社が存在し、その中でプレイエル、エラール、パープが三大製造社とされていた。連打を可能にしたダブルエスケープメントアクションを発明したエラールのピアノは鍵盤をたたくとすぐ重厚な音が響く。逆にプレイエルのピアノは、シンプルエスケープメントアクションで、自然でときにはささやくようにやさしい音を出し、それが自分の音楽の「親密さ」に合うとショパンは考え、プレイエルのピアノを愛用したという。「私は気分がすぐれない時は、すでに完成された音色を持つエラールを使用して間に合わせるが、 気分がよくて、求めるもの(表現・音色)を得るための充分な力がある時にはプレイエルを弾く」。細い線で書かれた直筆楽譜をみながらオーディオガイドから流れる音楽を聞くのは楽しい。(海)
Musée de la Musique : 221 av Jean Jaurès
19e 01.4484.4484 www.cite-musique.fr
火-土12-18h、金 -22h、日10-18h。4€-8€。