フランスに初めてヨーグルトの前身なるものが出現したのは16世紀。腸の病気にかかったフランス国王フランソワ1世のために、当時オスマン帝国でその驚異的な効能が話題になっていた羊の発酵乳の噂を耳にし、その奇跡の飲物を作る医者を呼び寄せた。数週間の服用の後、王は完治。医者は製法を極秘のうちにコンスタンチノープルへ帰国の途に着いた。
発酵乳がフランスに再び姿を現すのは4世紀も後のこと。バルカン半島の医師カラッソがブルガリア発祥の発酵乳をパリのパスツール研究所で検証後、1919年バルセロナに工場を設立。息子ダニエルの愛称を社名とし、1958年にはフランスに本社を移す。それが、今や世界に名だたるヨーグルト会社「ダノン」。以降、ヨーグルトの普及はフランスを筆頭に西欧で急速に広まることとなる。(み)