最近デパートやブティックに50%~70%引きと大きく表示されている。「ソルド」は夏冬の2回だけでは ? と思っていたが、じつは今年からその期間が年に6週間から5週間に短縮された代わりに、適時(定例バーゲンの1カ月前まで)1、2週間の臨時バーゲンを開催していいことになったのだ。消費者の季節感が狂いそう。
ところで年末に話題になっていた日曜営業だが、フランスでは 「日曜日は聖なる休日」であるはずなのに、サルコジ大統領は(週35H制などは無視)「もっと稼ぐためにもっと働こう ! 」をモットーに日曜営業を奨励する。昨年12月に国民議会で日曜営業法案が論争されたが大山鳴動して鼠一匹、今まで年に5回許可されていた日曜営業が10回に増えただけ。ところがルーヴル地階やマレ地区などは観光地という理由で大分前から日曜も営業しており、客で賑わっている。
労働基準法には「週6日以上は働かず休日は日曜日」と明記されているが、日曜に休まれると一般に不便をきたす業種、例えばホテルやレストラン、美術館・劇場などの文化施設、薬局、花屋、食品店(日曜は正午までだったが13時に延長)などは日曜も営業できる。IKEAなど家具チェーンは日曜も営業するために一応ボランティア制にしており、平日の2倍の給与を出すか代休をとらせているようだ。
世界中から観光客が押し寄せるシャンゼリゼのルイ・ヴィトンについ最近、日曜日に行ったら営業していた(写真)。ルイ・ヴィトンの日曜営業については、07年にパリ行政控訴院が下した日曜営業認可の判決を3月11日、国務院コンセイユ・デタが無効にしている。しかし同社は08年暮に、向こう3年間の日曜営業認可を県知事から得ているのだ。コンセイユ・デタのおえら方がどんなケチをつけようが同社は無視する構えだ。
日曜営業には書籍やスポーツ関係、文化的展示空間などの設置が条件となっており、ルイ・ヴィトンは05年から7階(販売員付添いで真っ暗なエレベーターで上り、商品世界からアートの世界に入っていく)に美術館を設置。現在〈沈黙のエクリチュール〉と題し、欧米作家15人のコンセプチュアル・アートやインスタレーションを展示している(8/23迄)。
ルイ・ヴィトンが相手にしているのは、取扱量の3分の1を買い上げているニッポンのヴィトンファンのほかに,アラブ・中近東・中国・欧米からシャンゼリゼにまでわざわざ買いに来てくれるヴィトン心酔者たちなのだ。
同社が所属するLVMHグループのアルノー代表が最近テレビで語っていたが、ルイ・ヴィトンは決してバーゲンや値下げをしない。だからダイヤモンドのように季節にも不況にも関係なく、お客が是が非でもホンモノを手に入れたいと憧れる商品でありつづけるのだろう。ガンバレ、ルイ・ヴィトン。(君)