フランス第5の港、そして教会とコロンバージュ。
ルーアンにはフランス第5の港(穀物輸出では欧州一)がある。中心街からメトロバス〈TEOR〉に乗ってJean Ango駅で降り、セーヌ川の方向に行くと、2008年9月に架橋されたGustave Flaubert橋の雄姿が見えてくる。大型の客船や帆船が通る時は橋げたの中央部がケーブルで吊り上げられる、世界最長・欧州最高の高さの昇開橋だ。この橋をくぐると、倉庫やクレーンが立ち並び、船が停泊する港の風景が一気に広がる。英仏海峡から60kmも内陸に入るのに、海がすぐそこにあるような錯覚を覚えるから不思議。倉庫を改造した海洋博物館をのぞいてみる。カヌー、船のモーター、ヨットや船の模型、巨大なクジラの骨格、1800年にロバート・フルトンが設計した世界初の潜水艦「ノーチラス号」の模型など、興味深いさまざまなものが展示されている。また、港から市中心地に向かうセーヌ右岸は、倉庫を改造したカフェ、レストラン、スポーツクラブなどが並び、楽しい散歩道だ。
港を歩き回って十分お腹をすかせたこの夜は、名物の「ルーアン風小鴨Caneton à la rouennaise」がおいしいという〈Chez Dufour〉へ。前菜はノルマンディーのカキ12個。エシャロットビネガーがよく合う。メインはもちろんルーアン風小鴨(注文は2人分から)。ローストした小鴨のスライスに、小鴨の血とワインをベースにしたソース添え。グリルされたもも肉も香ばしくて美味だ。デザートにはカルバドス入りスフレ。生地をカリカリに焼いたオリジナルなミルフィーユもおすすめだ。
ルーアン風小鴨
鮮やかなソースの色!
次の日は、コロンバージュcolombageと呼ばれる木骨構造の家が並ぶ中心街をぶらぶらした。フランスの北半分によく見られる中世のコロンバージュは、ルーアン中心街にはやたらと多い。淡いブルー、グリーン、ピンクの木骨もあって目を楽しませてくれる。荘厳なゴチック様式のノートルダム聖堂は、尖塔の高さがフランス一で151mと、ひときわ目立つ。モネがジヴェルニーから通って、異なる季節の異なる時間のファサードの絵を30枚も描いている。夜のライトアップがひときわ美しい。
聖堂の正面からはルーアンのシンボル、大時計Gros-Horlogeが見える。市のシンボルである羊が1本だけの針の先についたルネッサンス時代の文字盤がきらびやかだ。鐘楼に上ると、1398年から1928年まで動いていたという時計のメカニズムを見学でき、屋上はルーアンの町を一望できる展望台になっている。中世には仏第2の都市だったというが、こうして見渡すと教会の多さにあらためて驚かされる。(し)
ノートルダム聖堂
船のモーター
コロンバージュcolombage
大時計Gros-Horloge
時計のメカニズム