フランソワ・オゾンの 新しい女性像。 “Ricky”

 カティ(アレクサンドラ・ラミー)は、郊外の団地に娘のリザ(メリュジーヌ・マヤンス)と二人で暮らすシングルマザー。バイクで娘を学校に送った後、自分は勤め先の工場へ向かう、そんな毎日。ある日、カティは新入りの工員パコ(セルジ・ロペス)を気にとめ、早速ねんごろの仲になり、パコはカティの家の一員になる。ママと二人きりの生活への闖(ちん)入者に最初は反発していたリザも徐々に新しい家庭を受け入れる。そしてカティとパコに赤ちゃんが誕生する。名前はリザが付けたリッキー。つぶらな瞳で食欲旺盛な愛くるしいべべだ。ある日、リッキーに異変が起きる…。ここから先の種明かしは控えよう。
 『Ricky』はフランソワ・オゾンの最新作。色々なジャンルの映画に挑戦し毎回みごとにそれをクリアーしてきたオゾン。今回はSFXを導入した空想的な超現実映画とも言えるが、むしろSFXを取り入れたファミリー映画と言った方が的確かもしれない。毎回意表を突くキャスティングをするオゾンだが、今回カティを演じたA・ラミーはジャン・デュジャルダンとのコンビで人気を博したTVのお笑い寸劇シリーズ『Un gars Une fille』で有名になって、映画出演も喜劇中心。女性像(『海をみる』、『まぼろし』、『スイミング・プール』等々)を多く手がけてきたオゾンに、新たな女性像を贈った。カティは、社会的には平凡、考える前に行動、愛想良く笑ったりしない現実優先タイプ。ロペスのパコはどこか得体の知れないグレーゾーンを抱えた感じがよい。リザ役の子もリッキー役のべべも見事にはまっている。リッキーは、この家庭に舞い降りた天使のような存在だったのです。8歳以上のお子様連れで「家族とは?」を再発見する旅へ誘うおとぎばなしともいえる映画です。(吉)
2月11日公開。