ジョルジュ・メリエス(1861-1938)といえば、20世紀はじめに『月世界旅行』というSF映画を撮影した大天才。もともと売れっ子の魔術師として活躍していた彼は、リュミエール兄弟が発表したCinématographieにいちはやく目をつけカメラを入手、映画製作を始める。1896年から1913年までにメリエスが監督した映画本数はなんと550本以上、短編とはいえこれはすごい。
メリエス没後70年を記念し、シネマテークで、メリエスが使った初期のカメラや魔術師だった時代の美術品やポスターなど、メリエスの所蔵品や作品700点が公開されている。
娘と友だちは会場内で上映される短編に見入っている。『Le Méromane』(1903)では、メリエス演ずる指揮者が自分の頭を放り投げて楽譜をつくり、『L’Homme à la tête de caoutchouc』(1901) では、メリエスの顔が膨れ上がってしまいには爆発する。次に子供たちの関心を引いたのは、メリエスが1897年にパリ郊外のモントルイユに建設させたスタジオの模型とそこで撮影された作品『A la conquête du Pôle』(1911)。メリエスが描いたイラストで、スクリーンに映し出される巨大な雪男がどのように裏で操作されるかがわかる。「カメラはここだよ!」、「見て! 手はこうして動かすの!」。からくりがわかると一緒に映画づくりをしているような気持ちになるのだろう、興奮した声が聞こえてくる。そして最後のコーナーでは傑作『月世界旅行』(1902)の上映、これは何度観ても面白い。(海)
La Cinémathèque Française : 51 rue de Bercy 12e 01.7119.3333 www.cinematheque.fr
来年4月末迄。月-土12-19h(木は22h迄)、日10-20h。火休。5e/12歳以下2.5e。
●Indiana Jones et le Royaume du Crâne de Cristal
19年ぶりの『インディ・ジョーンズ』となったシリーズ第4作目が公開中。主演は当然ハリソン・フォード。現在65歳。アクションヒーローを演じるにはキツい年齢。だがハリウッドもネタに困っているから、スタローンのランボー同様、スターの老体にむち打ってでも、昔とったきねづかに頼らざるを得ない事情があるのだろう。1957年の冷戦時代。考古学者インディは、伝説の水晶ドクロ「クリスタル・スカル」を探す。しかし、彼に詮索を強要するソ連軍の悪の手が伸びて…。スピルバーグ監督によるハラハラ・ドキドキ感には安定感あり。インディ世代の親が、ローティーンの子供とともに楽しむ映画としてピッタリ。対象年齢は10歳から。(瑞)