共産党が勢いをなくし、社会党の右傾化が進み、労働者を代表することができる政党は存在するのか? という問いに「反資本主義を結集軸とした大衆的な新政党結成」と主張するのが、トロツキー主義の極左政党LCR(Ligue communiste révolutionnaire 革命的共産主義者同盟)。そしてその指導者がオリヴィエ・ブザンスノ(34)。童顔と郵便配達夫ならではの笑顔、まだ少々青臭いが巧みな演説で、少しずつフランス人の心をつかみ、昨年の大統領選挙では4.08%と共産党の倍以上の票を得た。5月11日には、「ブルジョワ階級のテレビを拒めば発言の場がなくなる」と、高視聴率を誇るFrance 2の〈Vivement Dimanche〉の主要ゲストとして出演。「私にとって、革命は、通りという通りに血が流れることではない」と民主主義による変革を説いたり、時間が許す限り日曜サッカーに興じる「ふつうの人」の側面を見せたりして、またまたポイントを稼いだ。
ブザンスノは1974年、パリ郊外のルヴァロワ市に生まれる。父は中学の生物教師、母は小学校の先生。15歳の時に、近くに住んでいた知り合いが人種差別的犯罪で殺害されて政治に目覚め、LCR党員になる。高校時代は、学校閉鎖の闘争に積極的に参加。と同時に、ディスコに通い、サッカーやボクシングで汗を流し、ラップグループNTMのファンだったという。1997年からサルコジの牙城ヌイイ・シュル・セーヌ市の郵便配達夫を務める。2012年の大統領選に向けてのブザンスノの言動に、右派も左派も油断ができない状況になってきた。(真)
