被写体の力と監督のセンス。 “Shine a light”, “Berlin”

 マーティン・スコセッシが撮ったローリング・ストーンズのステージ『Shine a Light』。ジュリアン・シュナーベルが撮ったルー・リードのコンサート『Berlin』。被写体のもつ力と監督のセンス、両者の共謀関係がドキュメンタリー映画の真髄。スコセッシは、なんといってもストーンズのファン、自作の中でも彼らの音楽をたくさん使ってきた。「僕のアイドルを撮るのだ!」という張り切り方が画面にみなぎる。シュナーベルの方は、ルー・リードというアーティスト、ミュージシャンにして詩人が生み出す世界に寄り添う。
 ステージを駆け回るミックのスリムなボディー、炸裂するセクシー・パワー。はにかみ屋キースのへなへなっとした姿態から飛び出す音階。黙ってドラムを叩きつづけるチャーリー・ワッツ。ひたすら演奏に没頭するロニー・ウッド。平均年齢63歳、キャリア45年、髪を切ってスーツを着ることを拒んだ永遠の不良少年たちの不屈の精神に感動する。人生、満足しちゃいけないのだ。ずっと、「I can get no satisfaction ! 」と叫びつづけるのだ。
 64歳のルー・リードにも惚れ惚れ。深くて渋い。それがなにげに表出しているところがよい。シュナーベルは、この1973年に出たアルバム『Berlin』を主題にした、2006年のコンサートの舞台背景セットも担当し、そこに挿入される、主題歌のヒロイン、キャロラインのイメージ映像(エマニュエル・セニエが演じ、監督の娘、ローラが撮影)も手がけている。つまり外側からの視点で被写体を捉えるだけでなく、コンサートの演出に関与もしていることになる。彼の提供したものが、リードの歌唱により昇華する観客の感性をさらに刺激しサポートする。今回は音楽×映画体験レポートでした。(吉)