Lieu a la creme et aux champignons
ボクは土曜の朝市で1週間分の買い物をすることにしているが、野菜や果物、魚など生鮮食品の値段がどんどん上がっていて、10ユーロ札がもう1枚余分に消えていくような感じがする。こうなったら少しでも安い食材を買って抵抗するしかない。そんな時、魚だったら、サバとかアジとかイワシとかlieu noir(英語ではポラックというタラ科の魚)が手ごろな値段でいい。2センチほどの厚さに切ってもらったものを4枚買ってくる。1枚180グラム前後になるだろう。
魚の切り身は冷水でさっと洗い、クッキングペーパーでよく水気をぬぐっておく。マッシュルームは石づきを切り落とし、砂を洗い落とし、やはりクッキングペーパーで水気をとったら、二つあるいは四つに切り分け、色が変わらないようにレモン半個分の搾り汁を振りかける。
エシャロットをできるだけ細かくみじん切りにし、小鍋にとる。辛口の白ワインを注いで強火にかける。ワインの量が半分くらいになるまで煮詰めたら、弱火に落とし、液状の生クリームを加える。軽く、塩、コショウしたら、火をごく弱火にし冷めないようにしておく。
オーブンの目盛りを220度くらいに合わせて点火しておく。魚の切り身を重ねずに並べられるようなオーブン皿にバターを塗る。
フライパンにバターを大さじ1杯とり、強火にかける。バターが泡立ってきたらマッシュルームを入れる。水気を飛ばすように木のヘラでかき混ぜながら、軽く色がつくまで炒め、とり出す。
魚の切り身の両面に塩、コショウし、オーブン皿に並べ、その周りにマッシュルームを入れる。その上から、エシャロット入りクリームソースをなるべく均等にかけ回し、熱くなっているオーブンに入れる。15分くらいたったら、軽く指で身を骨から離すようにし、まだくっついているようだったら、もう数分火を通す。付け合わせはバターライスかゆでジャガ。ワインはムスカデのような辛口の白ワイン。(真)
Lieu noir の切り身4枚、マッシュルーム300g、エシャロット4個、レモン半個分の搾り汁、白ワイン300cc、液状生クリーム200cc、バター、塩、コショウ
●左のレシピをちょっと豪華に
まだ4ユーロくらい財布に残っていたら、ゆでエビを200グラム買ってくる。頭と殻をとる。その頭と殻を鍋にとり、左の分量の白ワイン、さらにワインの半量の水を加え、中火にかける。うま味がよく出るようにマッシャーやスプーンで頭をつぶすようにしながら、20分ほど煮ていく。これをこして、左のレシピの白ワインの代わりに使えば、エビの風味が素晴らしいクリームソースのでき上がりだ。むき身は、ほとんど魚が焼けたというころ合いに加えるといいだろう。
●Lieu
どこの魚屋にもタラ科の大きな魚、lieuが何本かどーんと置いてある。客が「deux tranches s.v.p.」などと頼むと、包丁でその枚数だけ切り身にしてくれる。lieuにはlieu jauneとlieu noirがある。どちらも北海から大西洋にかけて生息している魚で、大きいものは1メートル以上になるが、ふつう魚屋で売られているものは、80センチ前後。lieu jauneは全体に茶色味がさし、背中はオリーブ色に近い。値段は高めだが、味は繊細。lieu noirは全体が灰色で、背は暗い灰緑色。少々大味なので、ハーブやスパイスを上手に使いたい。身がこわれやすいので、調理時間を少なめにするといいだろう。
●Lieu noirの香油焼き
4人分として、lieu noir を1キロくらいの塊に切ってもらう。ウロコもとってもらうと後が楽。オリーブ油大さじ4杯に、エルブ・ド・プロヴァンス(タイム、ローズマリー、ローリエなどがミックスされたもの)、クミン粉やコリアンダー粉、おろしたニンニクやショウガ、エスプレット産の唐辛子、カレー粉など好みのスパイスを加え、1時間くらい置いておく。魚をさっと洗ってよく水気をぬぐい、この香油を全体にまんべんなく塗りつけ、塩、コショウし、オーブン皿に入れる。目盛りを180度に合わせて熱くしておいたオーブンに入れ、30分たったら、ひっくり返す。この時に、もう一度香油を塗るといい。あと20分ほど焼いて、表面にきれいな焼き色がついてきたらでき上がりだ。