Marie-Josee Croze (1970~)

 モントリオールの郊外出身。父は暴力的でアル中のトラック運転手だったという女優マリ=ジョゼ・クローズ。絵を描いたり読書に熱中することで、現実逃避をしていた少女時代。「私は20代初めのころまで貸間で過ごしている気分だった」。だが演劇に出会い、TVドラマの出演を経て、映画の世界に飛び込む。デニ・ビルヌーブやアトム・エゴヤンなど、カナダを代表する鬼才と仕事をしたが、世界的に彼女の名を知らしめたのは、2003年の『みなさん、さようなら』の成功だ。老教授に、癌の痛みの緩和剤としてヘロイン投与をするジャンキー役で、カンヌ映画祭最優秀女優賞を受賞。他の代表作に『ミュンヘン』、『Ne le dis à personne』、『潜水服は蝶の夢を見る』。すっきりとは晴れない影を帯びた表情のせいか、たいてい死の見届け役か、本人が壮絶な死を遂げる役ばかり。
 現在、ヴァンサン・トーマス監督の最新作『Le Nouveau protocole』が公開中。巨大な製薬会社の不正を暴くため疾走する未亡人役が話題だ。来月にはジャン・ベッケル作品の公開も控えている。「今は人生を楽しんでいる」と微笑む、とびきり美しい青い瞳のケベコワーズは、17歳の時に将来住みたい場所として夢描いていたパリを拠点に、フランス映画界の中心で活躍を続ける。(瑞)