Fricassee de poulet à l’estragon
583号で、チキンの胸肉をソテーし、香草のセージの香りがするソースを添える一品を紹介したけれど、うまくできましたか。今回は、やはりチキンとの相性が素晴らしいエストラゴンの香りをいかした煮込み料理。
チキンは1.5キロくらいのものを選び、肉屋(鳥肉屋)さんに頼んで八つに切り分けてもらえば簡単だ。スーパーで買い求めたものなら、自分で、手羽、胸肉、もも肉を二つにと切り分けていく。
マッシュルームは、石突きを切り取ってからさっと水洗いし、クッキングペーパーで水気をぬぐい、大きかったら適当に切り分ける。エシャロットとニンニクはみじん切り。トマトは湯むきしてからさいの目に切る。エストラゴンはみじんに切ったものを大さじ2杯用意しておく。
まずマッシュルームを調理したい。鍋にマッシュルームを入れ、水大さじ5杯とバター大さじ1杯を加え、フタをしてコトコト3分も火を通せばいいだろう。マッシュルームを取り出し、煮汁はとっておいてチキンを煮る時に使えるようにしておきたい。
チキンに塩、コショウする。チキンが重ならないように、なるべく大きな厚鍋に、オリーブ油とバターを大さじ1杯ずつとって中火にかける。バターが泡立ってきたら、チキンを並べ、両面にきれいな焼き色をつけたい。焼き色がついたところで、白ワイン、ニンニク、エシャロット、ブーケ・ガルニを加える。トマトを均等に散らし、きざんでおいたエストラゴンを半分だけ入れる。さらにマッシュルームの煮汁を加え、フタをし弱火でことこと30分ほど煮込んでいく。時々、チキンをひっくり返すことを忘れないようにしたい。最後にマッシュルームを加え、それが熱くなったら、残りのエストラゴンを加え、塩とコショウで味を調えればでき上がりだ。
ワインはアルザスの白とか、ピノ・ノワール種の赤はどうだろう。(真)
チキン1羽、マッシュルーム350g、トマト4個、エシャロット5個、ニンニク4片、ブーケ・ガルニ、エストラゴン、白ワイン2000cc、バター、オリーブ油、塩、コショウ
●チキンを切り分ける
今回のレシピ、近くに鳥肉屋がない人は、スーパーで1羽買ってきたら、自分で切り分けるしかない。慣れればなかなか楽しい作業、とボクは思う。尻に近い背中のくぼみにあるsot-l’y-laisseと呼ばれる小さな肉塊に、包丁を入れて、もも肉cuisseと一緒に切り出せるようにしておく。ももを引っ張るようにしながら。包丁の刃先で胴からはがすようにしていき、付け根を脱臼させるようにしながら、sot-l’y-laisseごと切り取る。大きいチキンなら、関節のところでさらに二つに切る。次は手羽aileで、胸肉blancの一部を付けて一人前になるような大きさに切り出す。あとは胸骨にそって包丁を入れながら胸肉をとり出す。
●マッシュルームのバター炒め
そのまま肉料理やトリ料理の付け合わせになるし、牛肉やウサギあるいはチキンのワイン煮などに加えてもおいしいマッシュルームのバター炒めを作ってみよう。きれいな焼き色がついて水っぽくならないように、なるべく底が広いフライパンを使うのがコツだ。マッシュルーム500グラムは、まず石突きを切り取ってから水洗いし、水気をよくぬぐい、大きいものは四つに、中くらいのものは二つに切ったり、小さいものはまるごとと、大きさを揃えておく。フライパンにバターを大さじ1杯とって中火にかける。バターが溶けたら、みじんに切ったエシャロット1個を加え、透き通ってくるようになるまで炒めマッシュルームを加える。まんべんなくきれいな焼き色がつくように、絶えずかき混ぜながら、4、5分炒めていく。途中でみじんに切っておいたニンニク1片を加え、軽く塩を振る。炒め上がったら、塩、コショウで味を調え、きざみパセリを散らせばでき上がり。
●ニンニクの芯をとる
ニンニクの芯は、特に生のまま、きざんでサラダのドレッシングに加えたりすると消化に悪い。二つに切り分けてから、芯を除きましょう。この作業をdegermerという。
●エストラゴン(タラゴン)estragon
エストラゴンはヨモギに近い植物で、ロシア南東部あるいは中央アジア原産で、現在は世界各地で広く栽培されている。その葉は、独特の芳香を持っている。細かくきざんでからグリーンサラダに加えただけで、サラダの風味が一変。ベアルネーズやタルタルステーキ用のソースにも定番の香草だし、卵などのゼリー寄せにも欠かせない。バターに混ぜ入れてステーキのお供にするのも悪くない。さまざまなトリやウサギ料理にも合う香りだ。このエストラゴンを漬けこんだビネガーvinaigre a l’estragonも瓶詰めになって市販されている。(真)