シルビー・ジャコ『シルビーの日本発見』 N° 607 2007-04-01 著者はリヨン大学で日本文学を学び、1989年に日本に渡り、長野県に居を定め、1992年以来、信濃毎日新聞特約記者として、現在に至るまで同紙にエッセーを連載している。この一冊には、1992年から2年間にわたって掲載されたエッセー100編が収められている。 バレンタインデーの義理チョコを嫌な習慣とたたき、田舎の景観を無視して立てられるけばけばしい看板や鉄塔に怒り、「欧米人と、アジアから来ている外国人に対しての日本人の接し方は、あまりにも差がある」などと厳しく批判するが、著者は、日本人の生き方のいいところや、日本の自然の美しさにも敏感だから、じつに説得力がある。駅のホームやデパートのエスカレーターでひっきりなしに発せられる注意アナウンス、あるいは選挙カーからの連呼の騒音に疑問を投げかけながらも、夏の涼しさを演出する風鈴やししおどしの美しい音に耳を傾ける。日本人は、日本人の独自性や一体性を強調しがちだが、「人の国際化を進めるにはまず、自国の多様性に目を向けることが必要だと思う」というシルビー・ジャコの指摘はじつに貴重だ。(真) ほおずき書籍発行。1400円+税。 Share on : Recommandé:おすすめ記事 フランスにもいたオモシロ候補。 冬空や青い目玉で五七五! 「人間的な、あまりに人間的な」 ブリュッセルからシャンソンの新風が。 初の依頼人はドンキホーテ? 念願のウィンブルドンで優勝。