12区にあるお気に入りのワインバー〈バロン・ルージュ〉で出てくるサン・フェリシアンは、ヴァシュランのようにとろけそうな風味が素晴らしく、ついついワインがすすんでしまう。
直径10センチ、高さ1センチちょっとで、これよりやや小振りのサン・マルスランに外見も味も、とてもよく似ている。どちらもローヌ・アルプス地方で作
られている、自然な表皮を持つ柔らかな身のタイプのチーズ。以前は山羊乳だったが、最近はサン・マルスラン同様にほとんどが牛乳製になってしまった。一度
は中身が流れ出さないように陶器やプラスチックの皿に収められて市販されている。
クリームが添加してあるので、乳脂肪分が60%あり、どこまでもまろやかでクリーミー。チーズ通を自認する人には、少々物足りない味かもしれないが、チーズの初心者にぜひおすすめしたい。田舎パンなどに厚く塗って味わいたい。
ワインはロワールやボージョレのガメー種の軽い赤でもいいけれど、カンシーのようなフルーティーな辛口の白ともよく合う。(真)