作風が近づいたり離れたり。 “Cezanne-Pissarro”

 親交があった美術家二人の合同展は楽しい。同じような題材の作品を見比べたり、二人の作風が近づいたり離れたりするのを感じることができ、単独の作家の回顧展とはまた違った味がある。オルセー美術館で開催中の「セザンヌとピサロ」は、その線上にある展覧会だ。約20年にわたるお互いの影響を、年代やテーマに沿って見せてくれる。
 セザンヌとピサロの関係は、〈ピカソとマチス〉のようなライバル意識や、〈ゴッホとゴーギャン〉の怒涛のような友情とはまったく違う。美術愛好家から理解されないセザンヌを支持し続けたピサロと、9歳上のピサロを慕い、彼の忠告に従って、色彩を明るくしていったセザンヌ。ピサロの人柄は、その作風のように穏やかだったに違いない。「ピサロには、神様のようなところがあった」と、セザンヌは晩年に告白している。
 二人の作風の違いを見ていくのは面白い。セザンヌの作品には、ものの内側から発散される輝きがある。作家の眼から刺激を受けて、木や家屋の細胞が動き出す。一方、ピサロが描くものには、外光に照らされて出た暖かさとでもいえる、受動的な輝きがある。セザンヌの『首吊りの家(1873)』と、ピサロの『おしゃべり(1874)』に、その違いがはっきり現れている。
 『オーヴェール・シュル・オワーズ全景(1875-76)』でセザンヌが描いたのは、中に住んでいる人々の違いがわかる、個を主張する家々だ。それに比べると、隣に展示されたピサロの『夏のエルミタージュ、ポントワーズ(1877)』の家は、可愛らしい積み木の家のようだ。
 ところが、会場を進んでいくうちに、ピサロの絵にも、中に住んでいる人がわかる家々が出てくる。二人が非常に近づいた時点の作品が、1875年に描かれたセザンヌの『マチュランの農地』と、ピサロの『マチュランの家の眺め』だ。年長のピサロも、セザンヌから深く影響を受けたのだった。
 最後の展示室。抽象に向かうセザンヌの『森の中(1894)』と、木も人も家屋も、やさしく光の中に溶けているピサロの『エルミタージュの森の中(1879)』を見ると、一時は近づいたものの、やはり二人は方向が違う画家であったのだ、と思う。(羽)

オルセー美術館:9h30-18h(木21h45迄)。月休。

Confluences  アソシエーションが運営する、ギャラリー、劇場、カフェのある、800m2の複合文化施設だ。出会いと意見交換の場所を目的に、1975年に設立された。政治・社会問題を鋭く扱うのが特徴で、4月9日までは、ルワンダの虐殺についての映画と芝居を上映、上演している(20h30)。
 事務局長のフレデリック・オカールさん以下、7人が働いている。カフェでは、映画や芝居の前後に、飲み物や軽い食事をとることが可能。
 写真専門のギャラリーでは、美的要素もさることながら、問題意識のある、社会性の強い作家が選ばれる。
 4月15日までは、「アルジェリア メイド・イン・チャイナ」と題された、アルジェリアの建設現場で働く中国人労働者を扱った写真展が開催されている。住宅不足に悩むアルジェリアに、助っ人として来た中国人の現場労働者は1000人といわれる。休日返上で働く、単身赴任の彼らを追ったエドゥアール・クペイユは、これらの写真を「ル・モンド2」に載せた。このテーマの2弾目は、5月、6月に開催される。(羽)

190 bd Charonne 20e 01.4024.1634
M。Alexandre Dumas www.confluences.net
土日休。
●Message personnel, 40ans de Yvon
Lambert
 エポック・メーキングとなるアーティストをいち早く発掘してきた、イヴォン・ランベール画廊の誕生40周年を記念するエキスポジション。中でもダグラス・ゴードン、河原温、ロバート・マンゴールドらは、イヴォン・ランヴェール氏ヘ送るメッセージとして制作した近作を展示。4/22迄。
Galerie Yvon Lambert :
108 rue Vielle du Temple 3e

●Pierre HUYGHE (1962-)
 2001年ベネチアビエンナーレで特別賞受賞。国際的に注目されるピエール・ユイグの、映像作品を中心とするエキスポジション。フィクションと現実が交錯し、ダンサー、建築家などとのコラボレーションとも相まって、不思議な時間と空間を共有させる。4/23迄(月休)。
パリ市近代美術館 :
11 av. du Prsident Wilson 16e

●Robert LONGO (1953-)

 1980年代から人間の疎外感や不安、権力や暴力などを表現してきたNYのアーティスト。広大な宇宙の力を前に人間の無力さを痛感させる、原爆のキノコ雲、津波、日食のイメージ。木炭と鉛筆で描かれた巨大で緻密なデッサンは恐ろしくも美しい。4/29迄。
Galerie Daniel Templon : 30 rue Beaubourg 3e

●Craigie HORSFIELD (1949-)
 イギリス人写真家。人々、風景、日常の一コマ、静物が、ゆっくりと流れる一瞬の時に浮かぶ。そこには過去の痕がまだ残り、未来の始まりが見えている。写真のほかフィルム、ドローイングなど「社会的プロジェクト」と名付けられた作品群。4/30迄(月休)。
Jeu de Paume : 1 place de la Concorde 8e

●Rembrandt et le paysage
 レンブラント(1606-1696)の生誕400年にあたる今年、本国オランダでは展覧会がめじろ押し。パリのオランダ会館では、風景を描く銅版画を展示。5/14迄(月休)。
Institut Neerlandais : 121 rue de Lille 7e

●Leonardo CREMONINI (1925-)
 不確かな影が潜む日常の風景。新具象派、イタリア人画家クレモニーニの近作。5/6迄。
Galerie Claude Bernard :
7-9 rue des Beaux-Arts 6e

●Le Douanier Rousseau, Jungles a Paris

 税関吏だった独学の画家アンリ・ルソー(1844-1910)。1900年代初頭に描かれたジャングルシリーズを中心とする作品50点。パリ市内の植物園、自然誌博物館、動物園へ足繁く通い、原生林や野生動物が錯綜する夢幻の世界を紡ぐ。動物の写真やはく製など、制作時の資料も展示。6/19迄(火休)。
グランパレ : Avenue W.Churchill 8e