4月15日、9区デパート街の裏通りにあるホテル〈Paris-Opera〉の火災でアフリカ人24人(子供10人)が焼死したのに次いで、8月26日未明、13区Quai de la Gare裏の老朽アパートから出火しマリ、セネガル人17人(子供14人)が焼死。さらに30日未明、不法滞在のコートジボワール人32人が不法入居していたマレ地区の老朽建物が燃え、7人(子供4人)死亡。4カ月の間にアフリカ人48人がパリで焼死している。 これら3件の火災事故に共通しているのは、大半の被害者が西アフリカ出身の大家族であり、不法移民であるため公営低家賃住宅HLMには入れないこと。そうでなくても住宅難、パリでは10万人以上の申請者が10年以上待つという。13区の建物はエマウス慈善団体が管理する貧困者用宿泊センターで、12所帯(大人27人、子供100人)が居住。中には一夫多妻者もおり超スシヅメ状態で暮らしていた。 一方、マレ地区の建物は老朽が進むにまかせ建物自体が危険な状態にあったのを市が家主から買い上げ、改修工事を控え封鎖中だったがアフリカ人家族らが不法入居していた。サルコジ内務相はこのような悲劇を起こさないために「不法入居の老朽建物を全部封鎖すべし」と発言しているが、不法入居者をそのまま街頭に ? 野ざらしに ? アフリカ人の連続焼死事故で政府とパリ市の責任のなすり合いが続くなか、9月1日 ドヴィルパン首相は、2012年五輪候補で17区に設定したオリンピック村予定地に中層所帯対象の公営住宅2000戸と学生用に1000戸、国鉄所有地に2万戸、緊急を要する家族のためにプレハブ5000戸を近郊の高速道路沿線に建設する案を発表した。しかし貧困者対象の住居問題解決にはほど遠く9月3日、移民約3000人が支援者らと抗議デモ。 パリには、水も出ない老朽建物900余のうち崩壊寸前の危険状態にある建物は約400棟ある。3区の火災にあった建物もその一つ。このような建物が集中しているのが10区-11区-18区-19区-20区で、老朽建物の市による買い上げと改修事業にあたっているのが半官半民の不動産事業会社SIEMPだ。 「都市連帯改修」2000年法は、私有・公営住居が混ざり合うように自治体に20%の公団建設を義務付けている。だがサルコジ内務相の本拠地ヌイイ市はたったの3%というように、上層階級の多い町は公団占有率に満たない分1戸につき150ユーロを国に払い込んでも移民や貧困所帯の入居を避けている。平等・博愛の国での地域間格差の原因はこんなところにありそう。(君) |
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