Le Balzac
1935年、キング・ヴィダー監督の『結婚の夜』で映画館の歴史に幕が上がる。創業者は、現在の支配人シュポリオンスキーさんの実の祖父だ。オープン以来常にパリ右岸アート系映画館のドン的存在。映画の選択眼に定評があり、『ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ』は45週連続公開の記録を樹立。現在は無声映画のシネコンサートや短編映画上映にも実力を発揮。
ジャン=ジャック・シュポリオンスキーさん(Le Balzac支配人)「大手興行チェーン館が並ぶシャンゼリゼ界隈で、Le Balzacのようなアート系館の存在意義は大きい。ターゲットを絞った特別上映や観客とのコミュニケーションの深さで、他の映画館と差をつけています」
Le Balzac
1 rue Balzac 8e M。 George V
Grand Action
シネフィルの殿堂Action系列館の中でも、今年1月より支配人が変わったGrand Actionは特に元気がいい。上映の前に支配人自ら挨拶に出ることも多くなった。スタッフ全員がシネフィル(監督、シナリオライター、女優など)なのも納得。8月からは大改装が始まるが、工事中も引き続き名作は見られる。来年まで続く「アメリカ時代のフリッツ・ラング特集」は必見。
Grand Action
5 rue des Ecoles 5e
M。 Cardinal-Lemoine / Jussieu
イザベル・ジバル=アルディさん(Grand Action 支配人)「映画会社は、小さな映画館にフィルムの貸し出しを制限したがるのが辛いところ。UGCなどの回数無制限パスの存在も問題。独立系映画館でも力を合わせ、別の映画パスを作りたいものです」
1895年、ボン・マルシェ百貨店社長が妻へのプレゼントに日本から運んだ建材をもとに建てたという仏塔風建物が異色。1931年から映画館として第二の生を受ける。90年には歴史的建造物に指定。経営難のため97年から3年間閉館に追い込まれたが、その後奇跡の復活。現在も7区唯一の映画館として佳作を紹
介している。
La Pagode
57 rue de Babylone 7e
M。 Saint-François-Xavier
Le Cinéma du Panthéon
今年で100歳というパリ老舗映画館のひとつ。2001年にはデプレシャン作品などで知られる製作会社〈Why Not Productions〉の指揮下に。「選んだ作品は守る。映画はポイ捨てされるチリ紙ではない」がモットーで、映画の公開期間が極めて長いのが特徴。大手チェーン館が商業的理由から、新作を3週以上公開することが少ないのと対照的だ。
Le Cinema du Pantheon
13 rue Victor-Cousin 5e
M。 Luxembourg
Latina
マレ地区でラテン・カルチャーを発信するこだわりの映画館。スクリーン数は2つ。色彩に溢れた館内には、アート・ギャラリー、ビストロありと賑やか。曜日により、タンゴ、サルサ、ルンバまで踊れてしまう。映画の後に一汗かこう。
20 rue du Temple 4e
M。 Hotel-de-Ville
MK2 Bibliothèque
アートスペース、カフェ、レストランも併設する巨大マルチコンプレックスは、別名「13区の掃除機」。03年誕生以来、映画ファンを根こそぎ吸い取る巨大な威力に、周囲の映画館はたじたじ。そのあおりをくってか、イタリー広場のGaumont Grand Ecranも年末には閉館。肘掛けを可動式にした二人用の座席は、いちゃつきたいカップルに配慮?
128-162 avenue de France 13e
M。 Bibliothèque François Mittérand