1月以来、郵便局(サービス縮小化・自由化反対)、国鉄(人員削減反対)、教職(賃金アップ要求)、病院(増員要求)と次々に国家・地方公務員スト、デモのオンパレード。政府は、正月明けの公務員の年中行事ととるのだろうが、ついに2月5日、一部の民間就労者も加わり約50万人がいっせいに「賃金アップ! 35時間制固守!」のシュプレヒコールを全国に響かせる。 それに輪をかけたのが、2月10日(全国約10万人)、15日(約5万人)の血気盛んな 高校生デモ。ある学校区は休暇中にもかかわらず、デモ参加者は、フィヨン教育相による教育基本法案の中でとくにバカロレア改革案に猛反対。 落ちこぼれを最小限に抑えることを目標に掲げる同法案は、教育の骨子を国語と数学、小学校で第一外国語、中学から第二外国語も習得することとし、それに人文科学、テクノロジーが続く。他の科目は選択科目にしていく方向に。そして補習が必要な生徒には週3時間の特別授業を保証。では美術や体育はどうなるのか、同法案のミニマリスト的構想に教師、高校生の怒りが爆発。 ところでバカロレアだが、毎年6月に普通コースは12科目の試験が行われ、教室を提供する下級生クラスや、試験・採点に追われる教師も多いため、その間、高1と高2は授業がないのにひとしい。そこで同教育相は、試験科目を12科目から6科目に減らし、他の科目は年間の成績を考慮に入れるという。つまりバカロレアに費やされる人件費と時間を節約するという構想だ。 この案にいきり立ったのは郊外の高校生たちだ。6科目が年間成績からわり出されるとなると、当然パリの有名校の生徒にはかなわず、出身校により優劣が決まりかねない。バカロレアの答案には受験者名が隠されるから匿名で勝負できるのだ。どんなに金と時間がかかろうがバカロレアを改変するなどとんでもないと、高校生らはフィヨン教育相に待ったをかける。 2月15日、孤軍奮闘の同教育相は、国民議会討議初日、同法案からバカロレア部分をしぶしぶ引っ込める。高校生デモをはしか熱くらいにしかとらないラファラン首相は学生らの叫びに耳をふさぎ、教育基本法案を緊急討議に処し逃げ切きる姿勢だ。 が、高校生らはバカンス明けの3月8日に大デモを準備中。教育相と高校生のイタチごっこが長引けば、5月に予定のEU憲法条約の国民投票で市民の欲求不満が爆発し、反対票となって逆襲しかねないのだ。(君) |
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