最後の元祖シネマテークで特集

 今月末をもって、ついに旧シネマテークの幕が降ろされる。現在最後の特集上映が開催中なので、映画ファンなら伝説の地にそっと別れを告げに行きたい。
 シャイヨー宮の特集は、「韓国映画50本」。1955年以降の重要作品が一堂に集う。まずは7作も見られる天才イム・グォンテク監督作から手堅く攻めたい。
 一方、グラン・ブルヴァールでは「フォード、ラング、ルノワール、溝口…彼らの最後の映画」と題し、巨匠の遺作に焦点を当てる。上映作品は著名な映画人が紹介。ブニュエルの『欲望のあいまいな対象』をジャン=クロード・カリエールが、黒澤の『まあだだよ』をセドリック・クラピッシュが紹介、という組み合わせも一興。なおベルシーに誕生する新生シネマテークは、今秋開館予定になっている。(瑞)
www.cinemathequefrancaise.com
●Le livre de Jeremie
 「過激な監督」アーシア・アルジェントの新作は、ガス・ヴァン・サントの『エレファント』の作者J.T.リロイの自伝的作品が原作。アルジェント演じる母親サラと息子の生活は、常軌を逸しモラルに欠けるけれど、根底に流れる母子の愛は強く、感動的ですらある。音楽にはソニック・ユース、そしてピーター・フォンダやオルネラ・ムーティも出演。(海)

●Mon ange
 緊迫した見知らぬ女の電話の声に動かされ、彼女の息子を引き取りに向かうコレット(ヴァネッサ・パラディ)。だが、女は殺され、コレットは少年と大金を片手に走る。あまりに映画的な巻き込まれ型ロマンスだ。パラディに捧げられた本作は、女優が輝く「女優映画」の系譜に連なる。パトリス・ルコント作品のシナリスト、セルジュ・フリードマン初監督作品。(瑞)


Noemie Lvovsky
ノエミ・ルヴォヴスキは、『Ma femme est une actrice』でセザール助演女優賞にノミネート、現在公開中の『Rois et reine』、『L’Un reste, l’autre part』にも出演。「最近よく見る個性派女優」と思う人も多いだろうが、もちろん彼女の名は、まず監督として記憶されるべきだろう。
 1964年パリ生まれ。11歳で観たトリュフォーの『夜霧の恋人たち』が、映画の世界への扉を開く。大学卒業後、名門FEMISに入学。ここでアルノー・デプレシャン、エリック・ロシャン、パスカル・フェランら同志と運命的な出会いを果たす。「彼らの存在が映画よりも興味をひいた。彼らと離れたくなかった」。シナリオ執筆と短編作品を手がけた後、25歳で長編『Oublie-moi』を撮影。このデビューの裏には、彼女の才能に惚れたジャン=リュック・ゴダールの後押しがあった。二作目『La Vie ne me fait pas peur』を経て、2003年、『Les Sentiments』で批評、興行ともに大成功をおさめる。姦通劇を瑞々しく描いた本作は、ルイ・デュリュック賞も受賞。
 さて監督としての彼女は完璧主義者で知られ、俳優らは口を揃えて「とても要求が多い人」と語る。思えば彼女が女優として映画に登場する時も、口うるさい役ばかり。演技というより地が出てしまうのだろう。(瑞)