La Pelote Basque ペロタ

バスク地方については、残念ながら分離独立の要求や美しい風景、料理以外のことはあまり知られていないように思える。ましてやこの地方の伝統的スポーツであるペロタについて詳しい人は珍しいだろう。テニスとスカッシュに似たこのスポーツは、バスク語と同様に起源が謎に包まれている。
古代ローマ・ギリシャ人はすでにペロタに似たゲームをしていたといわれるが、バスク発祥かどうかはわかっていない。またゲームの種類も22種に及び、ボールを打ち返す道具だって網付きラケット風、細長いカゴ風、しゃもじ風とさまざま。素手で行う場合もあるという。説明を聞けば聞くほど、混乱してしまう。どうもペロタの実体がつかみにくい。ならば、実際に体験してみるしかないではないか。
というわけで、パリでペロタを体験できる15区の会員制クラブTrinquet de la Cavalerieにやって来た。バーカウンターが付いたラウンジの向こうには、初めて目にするペロタのコートが広がる。コートは長方形に細長く、天井が高い。薄暗いラウンジとまばゆく光が降り注ぐコートが対照的だ。すすめられるがままに、早速ペロタに初挑戦だ。ベテランの会員であるパトリスさんと僕とで壁に向かって交互に球を打ち合う。ここで使われているのはPALAやPALETAなどと呼ばれる木製の大きなしゃもじに似たラケットだ。5センチほどの大きさの黒いボールは良く跳ねるから、前後に素早く移動しないと追いつけない。すぐ横にいる敵にぶつかりそうになる。ラケットの面が小さいので、何度も虚空に向かい勢いよく空振り。僕は飛び跳ねてばかりのヤギのよう。さすがにクラブで1、2を争う腕前のパトリスさんは余計な動きがなく、禅のひと言。同じ競技をしているとは思えない。僕はだんだんと息が荒くなってきた。
さてこのクラブだが、1929年にアルゼンチン人の外交官によって設立された。数あるペロタの種類の中でも、ここで体験できるのはアルゼンチン流だという。現在の会員は110人で、うちバスク出身者は40人ほど。会員になるには900ユーロ前後の高額の会費を払わなければならず、そのためか医者や社長などが会員に名を連ねる。また誰でも入れるというのではなく、現会員2人の推薦も必要だ。パリにおけるペロタの世界は、むやみに仲間を増やそうとはせず、仲間うちで秘技を楽しむややエリート嗜好の世界とも言えよう。だが一方で、スポーツそのものは意外ととっつきやすい。テニスに比べて難しいテクニックやルールを知る必要がないのだ。実際にこのクラブの年齢層は厚く、無料で毎週水曜日に子供向けの講習も行っているし、最年長の会員は81歳だ。
新学期だし、気持ちも新たに何か変わったスポーツを始めたいという人にはおすすめである。なおこのクラブでも、ペロタの見学・体験が可能ということなので、事前に電話連絡の上どうぞ。(alex)

Trinquet de la Cavalerie
8 rue de la Cavalerie 15e / tel 01 45 67 06 34
管理人のフランク・デュカスさんに連絡のこと。

ペロタができるその他の場所
Stade Chiquito de Cambo
8 quai Saint-Exupery 16e / tel 01 42 88 94 99
Trinquet de Saint-Brice
stade de la Solitude, Saint-Brice-sous-Fort (95)
tel 01 34 38 08 67