● 来年の運勢は? Elizabeth Tessier《Votre Horoscope 2004》 1990年から1995年の間、当時大統領であったミッテランも政治判断にも助言を求めていたという占星術師、エリザベット・テシエが綴る2004年の運勢。各星座ごと、さらに月ごとに運勢の傾向が記されており、自分の運勢だけでなく、家族や友人の運勢もみられる。いきなり表紙にはテレビ番組雑誌のロゴがあったり、最初からミニテル、電話、インターネットでの宣伝が目にさわるが、この年末年始、家族や友人たちとの集まりの際に読みあったり、毎月ちょっとずつ読んだり、トイレでの読書用には最適かも。しかも10ユーロ以下! |
Ed. XO, 508p., 9,9€ |
● オレンジ色の怪獣 Casimir 《Memoire du monstre orange》 1974年から1982年まで放映されていたフランスの伝説的幼児番組『L’Ile aux enfants』のメインキャラクター、カジミールの自伝。著者はイヴ・ブリュニエ。日本でいうと『ひらけ!ポンキッキ』のガチャピンに相当するだろうか。しかし、さすがフランスの怪獣、この自伝でカジミールは、現代のテレビ業界批評やカジミールがカジミールであることへの自己の存在への哲学的考察を進める…カジミール的なユーモアを含めて。そういった意味ではガチャピンというよりは、『ウゴウゴルーガ』のシュール君に近いものがあるかもしれない。現在30代のフランス人には特に気の利いたプレゼントになるでしょう。(樫) |
Ed. Nicolas Philippe, 263p.,17€ |
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● Le PARIS ARABE |
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1983年10月、マグレブ*系移民の2世32人が「私たちもフランス人。人種差別をなくし、同等の権利を!」と訴えながら、マルセイユから徒歩でパリにのぼり、12月3日のパリ行進には10万人以上が加わった。それから20年、彼らの多くは今も郊外団地に押し込められ、高い失業率に苦しんでいる。彼らが社会的・政治的にどうやって力を得ていくかに、フランスの未来の鍵が隠されているようだ。 この新刊は、これまで2世紀にわたるフランス人とアラブ人、そしてフランス人と彼らの文化との関わり合いをさまざまな角度からとらえようとしている。 二つの世界大戦では、フランス軍の兵隊として最前線に送られ多数の死者を出したマグレブ人だが、すでに1870年の普仏戦争でも6000人が戦線に送られその1/4が戦死している…などの過酷な歴史的事実を知ることができる。それだけでなく、フランス人が “arabe” というコトバを耳にしたときに思い浮かべる、ハーレム、アラベスク模様、絨毯、香水、ヴェールをかぶった美女、阿片、蛇使い、熱い砂、外人部隊、といった異国へのあこがれにもしっかりと焦点が当てられていて、面白く読み進んでいくことができる。大判の本に満載されている写真も見ていて飽きることがない。(真) *フランスの植民地だった北アフリカのチュニジア、アルジェリア、モロッコの三国。 |
La Decouverte社発行。 |