★★ Valerie Lagrange 『青い雌馬』で映画界にデビューした女優のヴァレリー・ラグランジュは、60、70年代には『男と女』や『恋人たち 』など多くの映画に出演する一方、歌の世界でも活躍。彼女が歌ったゲンズブール作 “La Guerilla” のヒット以来、ゲンズブール・ファンの間では、彼の作品を歌わせたらエゲリア(女性リーダー)的な存在に。 今回の公演は、新進歌手バンジャマン・ビオレーが彼女のために曲を書き、色香豊かで陶酔してしまいそうな新作アルバム『Le fleuve Congo』の発売記念を兼ね、また彼女にとって80年以来2度目の歌手復帰コンサートでもある。 6日/20h。31€(FnacやVirgin) *Bataclan:50 bd Voltaire 11e 08.2602.5252 ★★★★ Thomas Fersen トマ・フェルセンは、J・L・ミュラと並ぶシャンソン界きってのナルシスト歌手。5枚目の新作CD『Pieces montees des grands jours』のジャケットが凄い。切り落とされた豚の頭部の傍らでポーズをとる彼の姿は、6年前のCD『Le jour du poisson』よりさらにエスカレートして、ベネトンの広告を思わせる悪趣味に。とはいっても、彼の歌は独創的で眩いほど美しいイメージの世界。時代遅れなテーマでも詩的な文体でモダンな作品に作りかえてしまう。シャンソンの先賢者たちが持ち続けた「美意識」をみごとに受け継いだ彼の現代風な寓話の世界を聴こう。新CDの表題曲では、最近亡くなった女優マリー・トランティニャンとデュエット。 11~22日/20h。25.30€/27.50€ *La Cigale : 120 bd Rochechouart 18e 01.4925.8999 |
トマ・フェルセン |
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● Sachiko Kaiyama《Croque la lune》 パリと東京で活動するシャンソン歌手貝山幸子がベルギーで録音した初CD『月を噛む』は、彼女がパリで出会ったフリー・ジャズ・グループのMAMらがリリースに参加して、ヨーロッパの空気と彼女の可能性を肌で感じさせてくれる素敵なアルバムに仕上がっている。 アコーデオン奏者V・アルノーが書いた “バイラ” は痙攣するような8分の6拍子のビート曲。マノ・ソロの 「甘くないぜ!」では、感情の勢いにまかせドスの効いた声で歌う。高島正明のリリカルなピアノの美しい音色が歌とみごとに溶けあうオリジナル曲 「バンガロー」や 「雨上がり」のサウンドは、静ひつで一種の官能さえ感じられる。この2曲こそ彼女がいちばん求めているスタイルかも。(南) |
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●タカーチ弦楽四重奏団 1975年に結成されたタカーチ弦楽四重奏団。緊密なアンサンブルから生まれる美しい響き、鋭いアタック。スラブ的な情感あふれるドヴォルザークの弦楽四重奏曲第10番、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第11番「セリオーソ」ほか。 29日/17h 15€ *Theatre de la ville : 2 place du Chatelet 4e 01.4274.2277 www.theatredelaville-paris.com ●アヤコレット・ コンサート 6月のパリ初公演が大好評だったアヤコレットが戻ってきた。金子光晴やボードレール、ゴダールの映画作品中の曲などを、ピアノを弾きながら歌う。今回は “Ghost” のベーシスト守屋拓之も来仏して共演。岩谷奈津子が白神山地で撮った大判の写真がステージを囲む。 4日/20h開場 5€ *91 quai panhard et Levassor 13e M。 Bibliotheque F. Mitterrand(14号線) www.lesvoutes.org ●ホレス・アンディ マッシヴ・アタックのおかげで一挙にファンが増えた、レゲエ界のベテラン歌手ホレス・アンディ。若々しい高音域の声、しなやかなノリがますます冴える。 15日 22€(Fnacなどで前売り中) *Elysee-Montmartre : 72 bd de Rochechouart 18e 01.5507.0600 |
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●ウム・サンガレ アフリカの歌手といえば、ボクはウム・サンガレを思い浮かべる。マリの民俗楽器をバックに歌う彼女のしなやかでいぶし銀のような声は、淡々としているようで夜明けの空のような無限の表情を持ち、慎み深いつぶやきから急に飛翔し、ステップを踏んでいたボクらの足先が舞い上がる。このどこまでも優雅な音の中に、アフリカの女性たちの苦悩と喜びが歌い込まれている。 13日 20€(Fnacなどで前売り中) *Bataclan : 50 bd Voltaire 11e 01.4314.3535 |
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