Tarte de saumon aux epinards
ホウレンソウのタルトは、ベーシックな一品だけれど、今回はサケも加えるのでちょっとしたごちそうです。
まず、パット・ブリゼpâte briséeというパイ生地を作って2時間ほどねかせます(作り方は下参照)。
サケの切り身darne de saumonは4枚買ってくる。大きなフライパンに並べ、それがすっかりかぶるように水を張り、塩、コショウ。中火にかけ、沸騰しそうになったら弱火にして5、6分ゆでたらとり出し、クッキングペーパーの上にのせて水気を切る。冷めたら、皮と骨をとり、大きくほぐしておく。サケをゆでるのに、白ワインやブーケ・ガルニ、ニンジンなどが入ったクール・ブイヨンを使えばさらに味はよくなる。
ホウレンソウは1キロ買ってくる。柄をとり、黄色くなったり、しなびた葉をのぞく。泥がかなり付いているので、大量の水でよく洗い水気を切っておく。これをできるだけ大きな鍋で6、7分ほどゆでたら、色よくなるようにたっぷりの冷水で冷まし、両手でよく絞ってから、みじん切りにしておく。
ボールに卵を3個とってよくほぐし、生クリーム200ccを混ぜ入れる。塩、コショウ、あったら、みじんに切ったアネットも適量加える。カレー粉を少々加えるのも面白いだろう。ここへホウレンソウとサケを混ぜ入れる。
オーブンの目盛りを180度に合わせて点火しておく。
厚さ3ミリほどに伸ばしたパイ生地を型におさめ、底をフォークでまんべんなく刺してから、ホウレンソウ、サケ、卵、生クリームのミックスを入れる。チーズをたっぷりと振ってから、熱くなっているオーブンへ。表面にきれいな焼き色がついたらでき上がりだ。
熱々を取り分けて前菜にしてもいいし、たっぷりサラダを添えれば一食にもなってしまう。もちろん冷凍のパイ生地やホウレンソウ、サケ缶を使えば、手間もかからず安上がりだが、味が落ちてしまうのは仕方がない。(真)
●Pate briseeを作ってみよう。
魚介類や野菜のタルトのような塩味にも、果物のタルトのような砂糖味にも使える用途の広いパイ生地です。
生地を作る30分前にバター125グラムを冷蔵庫から出し、さいの目に切って室温に置いておく。大きなボールに小麦粉250グラムをとる。真ん中にくぼみを作り、そこへ、小さじ半杯の塩、そして砂糖味のタルト用なら砂糖大さじ2杯を入れ、さらにバターを加える。指先でそのバターを細かくしながら粉と混ぜ合わせていき、そぼろ状になったら、水をカップ半杯弱加えて、素早くこね合わせながら、まとめるような感じで玉にする。水は入れすぎないように、2、3度に分けて入れるといい。しなやかだが柔らかすぎず、指にくっつかない、というのが目安。練りすぎるとでき上がりが固くなる。この玉をラップでくるんで冷蔵庫に最低2時間はねかせておきたい。
●塩ザケ作り
わが家はみんな魚好き。だが、住んでいるパリ北郊外の小さな町には魚屋がない! 幸い木曜と土曜の朝市には魚屋が4軒並ぶ。そこで土曜日に買い物という時は、その日のうちに食べる魚介の他に、年中あるサケの切り身を買うことが多い。この切り身の両面にきちんと細かな塩を振って、巻きすや金網の上に並べ冷蔵庫に入れる。水気が出てくるから、下に大皿を置くことを忘れてはいけません。すると三日後くらいにはおいしい塩ザケの誕生! 焼いて、おろした大根とショウガをたっぷり添えてごはんです。
●サケのリエット
今回のレシピのごとく、サケの切り身2、3枚をゆでて室温で冷まし、皮と骨をのぞく。これをボールにとり、フォークを使って細かくほぐす。これに、小さく切り分けておいたバター100グラムと生クリーム100ccを少しずつ混ぜ入れる。さらにレモンの搾り汁を大さじ2杯、みじんに切ったシブレット適量を加え、塩、コショウしてから全体を混ぜ合わせ、これをテリーヌの器に入れ、冷蔵庫で2時間ほど冷やせばでき上がりだ。トーストしたパンに塗れば、アペリチフの素敵なお供になる。ワインはムスカデのような辛口の白がいい。
●台所のフランス語|appareil
appareilは、ご存じのように道具とか器官という意味だが、料理用語では、今回のレシピに出てきた〈卵と生クリームのミックス〉のように、調理用に数種の材料を混ぜ合わせたものを指す。バヴァロワの生地appareil à bavarois、クレーム・ランヴェルセ用のたねappareil à crême renverséeのごとく、製菓で使われることが多い。