あれこれピーマン
ピーマンか、ポワヴロンか唐辛子か、あいまいな境界線。
フランス語でpimentといえば唐辛子、poivronといえばピーマン…エラそうに言うまでもなく。でも、ピーマンと唐辛子との境界線を引くのは難しい。言葉からして厄介だ。
英語ではピーマンもコショウもペッパー。フランス語では言葉は少々違うにしろ、poivron(ピーマン)の語はpoivre(コショウ)に由来する。コロンブスがピーマンを発見したときすでに「インドのコショウ」なんて表現したから面倒なことになったのかもしれない。
スパイスの本に書いてある。「ポワーヴルはその昔高価で珍重された香辛料であり、ポワヴロンはポワーヴルを買えないポーヴル貧しい)な人たちに代用品としてもてはやされた」と。場所により習慣により、辛いポワヴロンは忘れ去られたり、辛いものがモテはやされたり…日本に明治初年に伝わったといわれる「ピーマン」は辛くなかった。なんとも複雑。ま、ピーマンといっても200種もあれば仕方ないか。
右ページに並ぶエスペレットのpimentも一筋縄ではいかない。ピリ辛もあるが、町で出会えるのは甘いピーマンばかり。シシトウを食べていて突然、超辛いものに当たるように辛いエスペレット・ピーマンに当たりくじをひかないものかと、ひたすらピーマンを食べ続けたのだった。
チリワイン2種。コショウの香りのメルローと、熟れた赤ピーマンの味と香りに似たカベルネ。
干しピーマンとニンニクと少女。
唐辛子のお守り。
青唐辛子たち。(左)メキシコ産(右)トルコ産の酢漬けは、そのままおつまみに、涙を流しながらどうぞ。中央のグリーンカレーは、カレーのルーに隠し味で足したり、魚介類のカレーには、カップ1、2杯のココナツミルク+ライムの搾り汁で割って使う、とオヴニー料理隊長(真)からのアドバイス。唐辛子発祥の地とされるメキシコは、辛いモノとの向き合い方からして違う。神話からして辛子が登場するし、唐辛子キャンディーは日常的に食べるし、カカオ+唐辛子ソース(鶏の煮込みなどに使う)、マンゴーやパイナップルにも唐辛子をかけるとおいしい!とメキシコ人のファニーさんは言うし。彼女がおすすめの唐辛子ソース堰B青ピーマンの躍動的な香りだけでも、すでに感動的だ!ピョートル大帝はウォッカにコショウをかけて飲むのが好きだったとか。その伝統を継承する唐辛子・ウォッカは唐辛子とコショウとヒッチョウカ入り。真っ赤な袋、「辛」の太字が辛いもの好きの心を捉えて放さない!辛いものベストデザイン賞。これからは韓国の新国際空港、仁川(インチョン)空港経由の旅をしよう。そして「キムチのり」を買おう。スペインじゃ「ピーマンとミサの役立たず」って言うのよ。