Les Plaisirs du piquant
辛 広辞苑を見ると「辛い」と一言でいっても色々な意味があることがわかります。
(1)「激しく舌を刺激するような味である。」ここには唐辛子、わさび、しょうがなどのヒリヒリする辛さ、「鹹い」と書かれる塩からくるしょっぱさ、強い酸味からくるすっぱさ、こくのある甘味の少ない酒の味などが含まれています。
(2)「心身に強い刺激を与える状態、または心身に強く感じるさまである。」これはどちらかというと人間の態度や感情の問題で、悲痛さ、危うさ、過酷さ、拒否、懸命さ、などが伴います。
フランス語も見てみましょう。
(1)に該当する言葉はいくつかあります。特に唐辛子には、唐辛子pimentそのものから語源をとるpimenté(e)がぴったりですが、「味覚を刺激する」という意味で使うならばpiquant(e)という言葉もいいでしょう。ただここにはマスタードや酢、またはピクルスなどからくる「口に入れた後につばがじわじわ湧いてくるような」刺激も含まれています。Piquant(e)には(2)に該当する意味もあります。つまり「刺激的な、辛辣な」という意味で、口の中で起こること以外にも様々な物や人までも形容するのです。
さて、味覚に話を戻すことにしましょう。ある香辛料によってしっかりと味つけがされている時にはスパイスから来るépicé(e)が使われますが、これもrelevé(e)のように、唐辛子からのぴりりとした辛味を指すことがあります。口内にぴりっとした刺激を送り込む胡椒にはpoivré(e)という言葉が存在します。また香りの表現にもこのpoivré(e)が使われています。香水の説明にpoivré(e)という言葉をみつけたら試してみましょう。
「ハ~クション !!」どうぞお大事に。
(海)