『小さなワイン・バー』編集長の小さなコラム
辛いものとワイン…「やっぱりビールの方が合うんじゃない?」という声も聞かれそうですが、なかなかどうして、試してみる価値はありそうです。特に唐辛子を使ったものやカレーなど、いくら水を飲んでも癒せない辛さには、むしろ程よい甘さのあるワインなどもってこい。ということで、辛さの系統ごとにワインとの相性を考えてみました。あとは自分の好み最優先でチョイス。
■「ワサビ」系の「辛」
もともと薬味として使われる「ワサビ」系は、一時ツーンとくるだけで、それほど後に引かないので、ワインは合わせやすいかも。お刺身やお寿司などには、キリッと酸の効いた白ワインなんかいいですね。例えば「ミュスカデ」や「シャブリ」など。また変わり種では、ヴィオニエという品種を使った「コンドリュー」なども、ほのかな甘味があって面白いかも。■「コショウ」系の「辛」
コショウの辛さは、魚料理にも肉料理にも、アクセントをつけてくれます。一方、ワインを表現する言葉にも「コショウのような」とか「スパイシイ」というのがあるくらいですから、相性はいいですね。白なら「コート・デュ・ローヌ」など、赤なら南の「ラングドック」や「ルシヨン」のものなど、やはりスパイシイで、コショウとあいまって楽しいでしょう。■「カレー」系の「辛」
カレーは、さまざまな香辛料がふんだんに使われていて、香りも強いので、ワインはちょっと香り負けしてしまうような…。でも、ワインを表現する言葉にもさまざまな香辛料が登場するので、相性も悪くはないでしょう。普通のカレーなら、作る時にちょっとワインを加えて、それと同じワインを飲むとか。先ほど紹介した南のワインは、白も赤もヴォリュームもあっていいのでは。またグリーン・カレーなどのタイ系カレーには、アルザスの白ワイン「ゲヴュルツトラミネール」や「トケイ・ピノ・グリ」など、香辛料の香りが強く、甘味もあってよく合うと言われますね。■「唐辛子」系の「辛」
唐辛子を使った料理も種類が多いですが、パスタなどはワインを合わせやすいですね。イタリアワインや、フランスでもお手ごろ価格のもので充分おいしくいただけます。韓国料理やチリソースなどの辛さなど、味覚が鈍くなってしまうので、なかなか難しいですが、ちょっと甘味のあるドイツの白とか。またフランスならロワール地方のロゼワイン「ロゼ・ダンジュー」などはどうでしょう。色もきれいなピンクで唐辛子に似てますし、何より程よい甘さとフルーティさがピッタリです。飲む時は必ずキリッと冷やして…。それでも「やっぱりビール」という方には…ちょっと変化をつけてベルギーのビールなどを試してみてはいかがでしょう。「ヒューガルデン」という白ビールは、フルーティでさわやかだし、また「トラピスト・ビール」などは甘味もアルコール度数も強く、きっと面白いですよ。
やっぱり辛いものには、高級ワインよりお手ごろ価格のものの方が出番が多いようですね。この他にも、いろいろな可能性を見つけてみてください。