日本で昨年末に公開され、社会的にも大きな話題となったヒット作『バトル・ロワイヤル』がフランスにも上陸する。 若者の暴力を収拾できなくなった大人が、大人の特権である権力を行使して、戒めのために “バトル・ロワイヤル” なる法律を作り、全国の中学から3年生の1クラスを任意抽出し、生徒全員を無人島に閉じ込め、武器を持たせて生き残りが一人になるまで闘わせる。漫画のような、ゲームのような内容だ。 もう何が起こっても驚かなくなったこの世の中。事実はフィクションを超えてしまったし、現実とバーチャルの区別がつかなくなった、何でもゲーム感覚の若者たちのことが取り沙汰されて久しい。その辺においては世界の最先進国を自負(!?)していた日本。この映画は、その日本の映画だから、妙に現実味がある。そこが悲しく恐ろしい。これがアメリカ映画やフランス映画だったら、荒唐無稽のB級作品として一笑にふされていただろうに…。 監督は、あのヤクザ映画の名匠、深作欣二。70歳の監督は、15歳のガキ俳優たちを相手に、堂々としたエンターテインメント作品を仕上げた。ビートたけしが演じた、ほとんど唯一の大人として登場する教師は、大人の悲哀をシニカルに背負った役で彼にぴったり。大人のイヤな面とダメなところも体現している。難は、42人の殺し合いの中心キャラクターとなるカップルの恋愛ごっこ。中学生の恋愛ってこんなもんだったっけ? それとも日本人の恋愛が幼いのか? ここがしっかりしていたら作品にもっと厚みが出ていたかも…。 ちなみに、さすがの日本でも〈15歳未満禁止〉指定を食らった暴力性に関しては、やはり物議を呼びそうだ。それにつけても大人の陰険な暴力と若者のストレートな暴力、どっちが怖い?(吉) |