2001年、黒の衝撃。

 今年の秋冬は黒が流行だそうだ。黒は体が引き締まって見える、洗練された感じ、汚れが目立たない(!)、流行に関係ない、余計なものを削ぎ落としたようなさっぱりした心持ち・・・・・と、利点は多い。黒を着ると、安全地帯に入って身の安全が保証されたような心持ちになるのだ。
 フランス色委員会の会長オリヴィエ・ギヨマン氏によれば、初めて世界的に黒が大流行したのは1970年代後半とのこと。オイル・ショックの影響によるものだそうだ。セックス・ピストルズに代表されるパンク、ヨーロッパのデザイナーたちの黒い服…その時は社会の階級、文化レベルに関係なく黒が浸透したという。そして1981年、コム・デ・ギャルソンなど日本のデザイナーがパリコレに参加、「黒の衝撃」をファッション界に与える。
 プランタン・デパートの「ウルトラノワール」展では、ソニア・リキエル、ガリアーノが手がけるディオール、ラガーフェルドのシャネル、日本だけでなくパリでもショーをするようになったコスミック・ワンダー、夜の闇と黒のイメージが強いジャン・コロナ、その他今年の黒い服が集められている。それらの服のインスピレーションは、反抗する若者の黒、肌の色を際立たせる誘惑の黒、聖職者の着るストイックな黒服、紳士の礼服、優雅な夜会服の黒、とさまざま。
 1926年にガブリエル・シャネルが発表した黒のワンピース「プティット・ロブ・ノワール」をヴォーグ誌は「シャネルのフォード」(フォードは厳格なプロテスタントで黒い車しか売らなかったことからだそう)と呼んだ。以来、プティット・ロブはフォーマルの基本となっている。
 1966年、イヴ・サン=ローランはスモーキングを女性のファッションに取り入れて話題をよんだ。同ブランドのデザインを手がけるトム・フォードが今年の春夏コレクションで発表したスモーキングのリバイバル版も展示されている。言葉を超える黒の美しさ、スモーキングの格好よさに溜息。「黒の服を作るのは緊張する」と知り合いから聞いたのを思い出す。色そのものが持つ緊張感と、黒は手抜きができない、ごまかせない、ということだそうだ。着る側としては「馬子にも衣装」効果で、こんな自分でも「ごまかせたら」なんて思うのだが。(美)

Christian Dior par John Galliano


A.-F Vandervost 秋冬2001ー2002


Martine Sitbon 「樹の皮」


Gilles Berquet
“Legs in fishnet” 1987