ウエルベック新作。

●Michel Houellebecq《Plateforme》
 現代フランスでおそらく最もメディアで話題になる作家、ウエルベック。その第三作、『プラットフォーム』は、慣例の新刊出版シーズンに先だって店頭に並び、以来、大きな反響、論争を引き起こしている。この反響とは、むしろ非難的な意味合いが強い。それも、セックス旅行が「非人道的に」描かれていること、イスラム教が冒涜されていること、あるいは、バックパッカーのバイブル、『Guide du routard』がけなされていることにある。
 小説を読む前にさまざまなメディア、または又聞きでこのような反響を耳にした読者は、実際に小説を読み始めた時、驚かされるだろう。興味半分で読み始めた者は失望するかもしれない。というのも、この小説から浮き出るのはそうした部分的または表面的な激しさではないから。確かにセックス旅行が物語の中心であるが、それはこの小説の中で細かに描かれるヨーロッパ旅行産業、そして2000年から2002年(!)という転換期のヨーロッパという大きな枠の中で捉えられるべきだ。読者はその道徳的価値が攻撃されることも、性的好奇心がかき立てられることもないだろう。この「小説」、その「語り手」が見せるのは、ある特定の「現実」の賛美でも弾劾でもなく、いわば現代世界に対する現代的知覚、感受性だ。淡々としてドライな語りから浮き出てくるこの感受性はシニカルで悲壮、じわじわと胃にくる、といってよい。
 この諦観は、主人公の人間性からくるのか?彼の世界観?この小説で描かれる世界自体がシニカルで悲壮なのか?…救いは出会いにある。主人公でもある語り手は、一人の女性との出会い、至福との出会いで救われる。制御不可能の世界への、「人間性」への厳しいまでの諦観、そして生身の人間との出会い、この一見相反する二つの衝突がこの小説の真の激しさ、強さであろう。(樫)

 

Flammarion, 2001, 370p., 20euros (131,20 francs)

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