8月のバカンス中はシャンソンのコンサートがまったくないので ひとあし早めに9月のプログラムを紹介。モラーヌのオランピア劇場公演(9月22日~23日)やマヌ・チャオのベルシー公演(9月27日)もあるけれど、(南)はルナール劇場のコンサートをオススメしたい。 ★★★ Le Loup, Le Renard et les chanteurs 昨年、新人女性歌手アンヌ・バケの公演が大成功したこの劇場は、小ぢんまりとしていて雰囲気もあり、とくにセミ・クラシック音楽が似合うコンサート会場としてファンに親しまれている。ここで、伝統派のシャンソン歌手たちを中心に良心的なCDをプロデュースするLe Loup du Faubourg専属の男性歌手2人が競う。 ●Wladimir Anselme ウラジミール・アンセルムは将来性のある自作自演歌手で、ディケスやボンゾンら新進歌手たちに多くの詩を提供してきた。あどけなさの残る少年のような風貌にTシャツ、ジーンズ姿だが、優れたディクションで歌い語る彼のステージにはまれに見るダンディズムが漂う。 9月11日~10月16日の毎週火曜/19h ●Christian Camerlynck ベルギー出身のベテラン歌手、クリスチャン・カメルランクの今回の公演 “Les coulisses de la memoire” では、J・ドゥブロンカールやフェレの未発表作品ほか、アカペラで歌うブレルの「アムステルダム」など彼のプロフェッショナルなステージに期待したい。 9月12日~10月6日の水~土曜日/19h 90F/120F(Fnacなどで前売り中) *Theatre du Renard: 12 rue du Renard 4e 01.4021.9095 |
ウラジミール・アンセルムス |
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クローデルに捧げられた新作能。
『真昼を分かつ』や『繻子の靴』などの詩劇で知られるポール・クローデルは、人間と人間の葛藤を描こうとしたそれまでの近代劇とたもとを分かち、神あるいは宿命を前にした人間のドラマを、呼吸や心臓の鼓動と同じような自然なリズムでとらえようとした。彼はまた、1921年から1927年まで駐日大使として在日し、能と出会う。「闇の国から持ち帰られた人生そのものだ。欲望、苦悩、狂気でできた苦い世界の中で、我々は自分の前に立ちすくむ」とその深い感動を記している。 9月11日/17h 100F/学割60F (9月4日より予約開始 01.4437.9595) *Maison de la culture du Japon : 101bis quai Branly 15e |
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B.O.が聴かれている。 B.O.(Bande originale オリジナル・サウンドトラック盤)コーナーは、Fnac やVirgin でもかなりのスペースをとっていて充実。今春はウォン・カーウァイ監督のIn the Mood for Love(Virgin)のB.O.がヒット。そのノスタルジックなテーマがラジオからよく流れていた。昨年のカンヌ映画祭パルム・ドール受賞作Dancer in the darkの音楽は、主演のビョークが担当。Selmasongs(Barclay)(1) と題されたB.O.はアルバムとしても傑出。中でも “I’ve seen it all” は名曲。 夏、地中海の青、太陽にさらされたBBのお尻、といえば、ゴダールの『軽蔑』。倦怠に隠された悲劇をみごとに感じさせてくれるジョルジュ・ドゥルリュのB.O.、Le Mepris et autres films(Universal)が再発売された。また同シリーズのPierrot le fou/Week-endではアンナ・カリーナが歌う “Ma ligne de chance” を聴くことができる。作曲はアントワーヌ・デュアメル。メキシコの灼熱の太陽、イーストウッドのニヒルな表情、そしてエンニオ・モリコーネの音楽も夏らしい。極め付きは、レオーネ監督の『夕陽のガンマン Pour quelques dollars de plus(RCA)』だ。 ハリウッドのオーケストラを駆使した映画音楽からは、(真)の愛聴盤2枚を紹介。最初の1枚は『荒馬と女』や『スパルタカス』などの音楽を担当した鬼才アレックス・ノースの名曲選The Film Music of Alex North(Nonesuch)(2)。『欲望という名の電車』のブランチのテーマが悲しい。2枚目は、ヒッチコック専属作曲家だったバーナード・ハーマン名曲選B.Herrmann the film scores。『サイコ』のシャワー殺人シーンの音楽には背筋がゾクッ。サロネン指揮のロス・フィルの演奏も秀逸だ。(真) |
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