Spaghetti aux coques
本州以南で養殖もされているというサルボウ貝とそっくりな貝がcoque。ムール貝のようなあくどさがなく、わが家では一番人気の貝です。よくやるのがムール貝と半々にしての白ワイン煮。クラムのかわりに使ってチャウダーにするのもおいしい。このコック貝がたっぷり入ったスパゲッティを作ってみよう。ヴォンゴレというとニンニクをきかせたトマト風味だが、今回は前号登場の長ネギも加わったクリーム風味です。この方がコック貝の優しいおいしさを十分に味わえる。
コック貝は4人分として1 キロ買ってきます。30 フラン前後。たくさん砂をくわえているので、海水よりやや薄めの塩水の中で半日ほど砂出しです。
底広鍋に白ワインをカップ1杯入れ、レモン半個分の絞り汁とつぶしたニンニク2片も加え、沸騰したら貝を加えてフタをする。2、3度大きく混ぜ合わせ、貝の口が開いたら取り出す。残った煮汁は砂が混じっているので漉しておく。飾り用の貝を残し、後の貝は中身を取り出す。
長ネギ1本分の白いところを小口切り。ニンジン半本はみじん切り。ソトゥーズにバター少々をとり、弱火で長ネギとニンジンを炒めていく。長ネギが透き通ってきたら煮汁の1/3を加える。フタをしてしばらく炒め煮したらフタをとり、煮汁がなくなりそうになるまで火を通してから取り出す。ソトゥーズを洗って火にかけ、バター大サジ2杯を溶かしたら、同量の小麦粉を入れてなめらかになるまで混ぜ合わせ、残りの煮汁と牛乳適量を加えて、柔らかめのベシャメルソースを作る。最後に生クリーム大サジ3 杯、塩、コショウ、好みではカレー粉少量も加えて味を調える。
スパゲッティをゆで始め、アル・デンテになりかけたころに、ソースの中へ長ネギ、ニンジン、むき身の貝を戻して熱くなったら、このソースでスパゲッティを和え、皿に盛りつけ、飾り用の貝をのせ、パセリを散らします。(真)
●なめらかなベシャメルソースの秘訣
バター40グラムをフライパンにとって火にかけ、溶けたら同量の小麦粉を加えてなめらかになるまで混ぜ合わせた後、火から下ろし、冷たい牛乳半リットルを加える。泡立て器で一気にかき混ぜてから火に戻し、絶えずかき混ぜつつ沸騰させ、あとは好みの濃さになるまで煮詰めていく。向かいの友人はルーを一度冷ました後、熱い牛乳を入れ、後は同様の処理。Mathiot の “Je sais cuisiner” には、1カップほどの冷たい牛乳にあらかじめ小麦粉を溶かしておき、残りの牛乳が沸騰しかけたらそれを加え、最後にバターを足すのが健康にいい、と記されている。
●ヴォンゴレ
鍋にオリーブ油を大サジ4杯とり、つぶしたニンニク1片を入れ、色がつき始めたら、砂出し済みのコック貝1キロを入れフタをする。強火。貝の口が開いたら取り出し、飾り用の貝を残してむき身にする。煮汁はしばらく静かに置いて砂を沈ませ、上澄みをソースに使います。
鍋にオリーブ油を大サジ3杯とり、ニンニク2片、唐辛子1本を入れて熱し、ニンニクが色づいてきたら、両方とも取り出す。ここへトマトソース(下欄参照) 1カップ、煮汁、白ワイン半カップを入れしばらく煮詰めたら、貝を戻し、最後に塩、コショウで味を調える。このソースでスパゲッティを和え、飾り用の貝をのせ、パセリを散らします。
● トマトソースも復習
11月に完熟トマトを見つけるのは大変だから、tomates entières pelées au jus(湯むきホールトマト) の缶詰、800グラム入りの大缶をふたつ使います。 まず玉ネギ2個、ニンジン1本をできるだけ細かなみじん切りにする。好みでセロリ1茎を加えてもいい。フライパンにたっぷりとオリーブ油をとって弱火で炒めていく。フタをし、時々木のヘラでかき混ぜながら20分くらいはかけたい。ここで缶詰のトマトを煮汁ごと、つぶしたニンニク2~4片、ブーケ・ガルニを入れ、塩、コショウ。酸味をおさえるために砂糖も小サジ2杯ほど加える。沸騰したらごく弱火に落とし、全体の量が2/3ほどになるくらいまで煮込んでいく。最後にもう一度、塩、コショウで味を調えれば完成。余ったら冷蔵庫で数日間保存できます。いろいろな料理に使えてとても便利。