死者の告白ビデオ “爆弾”。

 告白ビデオ”爆弾”とは、80年代以来、RPR (共和国連合) へのHLM公団建設業者からの献金集金係とも呼ばれていた元RPR幹部で不動産プロモーターのジャン=クロード・メリー氏(1999年6月病死)が、シラク元市長時代の裏資金のカラクリを96年5月に告白、録画したビデオ。撮影に立ち合ったアムラン記者からコピーを入手したルモンド紙が10月22、23日とその内容を掲載したものだから、エリゼ宮に”爆弾”が撃ち込まれたのと同じ、さては敵方の “裏工作?” と大騒ぎ。
 シラク大統領のパリ市長時代にRPRの裏資金はもっぱら、公開入札なしのコネによる大手建設業者からの収賄だった。メリー氏は告白の中でシラク首相時代にも「すべてシラク氏の命令に従い、彼の前でルッサン官房長官に現金500万フランを手渡した」と告白。裏資金のほかに、企業にRPR関係者の架空給与を出させ、いかに裏金を企業から吸い上げ左翼政党にも金をつかませたか、さらに数百万フランを収受したシラク側近の政治家たちの名前も挙げている。メリー氏によれば、公団建設や修理工事ごとに1~5% のコミッションを受けていたという。
 数年来、パリ公団疑惑を調査してきたアルフェン予審判事に「誰にカセットのオリジナルを渡したのか ?」と追及された、故メリー氏の元税務弁護士ブロ氏は黙秘に耐えられず「ドミニック・ストロース – カーンに…」と吐いた。まさか ! あの学生組合汚職 (顧問料60万フラン受ける)に絡んで昨年秋、蔵相を辞任し、現在取り調べを受けているDSK*がカセットを保管 ?! 
 政財界推理ロマンが急転換。DSKの元協力者でもあるブロ弁護士は1999年4月、服飾デザイナー、ラガーフェルド氏の15年分の脱税追徴額についてDSK元蔵相に交渉(8000万Fから4500万Fに減額)に行った際にカセットを渡したという。おりしもDSKがパリ市長候補を志していた時で、このビデオ”爆弾”は選挙戦用にと、DSKとブロ弁護士の間でギブアンドテイクの裏交渉があったのでは、と推理が発展。

 予審判事らが即刻、DSKの自宅とオフィスの捜索に行くや、DSKは「カセットは見ないままなくしてしまった」とケロリ。

公職者による証拠品窃取の疑いがかかるのも厭わないよう。またまたドロ沼に足を突っ込み社会党にドロを塗るDSKに怒ったジョスパン首相は、「われわれには無関係」と元官僚を突っ放す。
 DSKの登場で告白ビデオが脱線、ほくそえむのはシラク陣営。が、94年に公団疑惑で5カ月間拘留生活を送り、不動産も財産もすべて失い妻にも去られたメリー氏は「裏金集めに使った自前の雑費年700万フランの返済をRPRは約束したのに。95年シラク氏の大統領当選は私の沈黙にかかっていると脅された。…もし約束を果たさないなら、わたしは目の前にいる者を斬っていく」と告白を結んでいる。

 この遺言を知ってはシラク大統領も安眠できないはず、ナムアミダブツ。(君)

*Dominique Strauss-Kahn


パリ公団疑惑に対し世論は厳しい

71% シラク元市長が大統領としての裁判免除の特典に浴するのは異常
80% 予審判事が希望した場合、シラク大統領は参考人として判事の尋問に答えるべき
72% 大統領は国民に説明すべき
67% 一般的に政治家は腐敗している

*Sofresが10/2日に世論調査 (Le Monde:2000/10/5)


 

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