スケボー君たちのファッションを見に街へ。

 近ごろ “glisse” (ボードライディング)という言葉をよく見かける。サーフィン、ボディーボード、スノーボード等を総括した言葉で、ファッションでも幅を効かせてきた。 昨年、売上高38%増を記録したQuiksilverなどは、若年層の人気投票ではLevi’sを上回る勢い。でもパリの陸サーファーを取材してもつまらない。スケボー君たちのファッションを見に街へ。
 同じ滑るスポーツとはいえ、スケボーなら400Fで始められる。スケボーグッズ専門店 “street machine”の店長さんは「スケボーは10年前まで日陰者だった。ローラースケートは老若男女楽しめ、交通手段にもなるけれど、スケボーは公道を滑るのは禁止されているだけでなく、激しいスポーツなので10歳から30歳までの男性と層が狭い。glisseブームは特に関係ない」というのも気に入った。彼らが〈スケーター〉と名乗るとき、あたかもマイナーなストリート・カルチャーを実践しているような誇らしげな顔になるのも納得がいく。70年代後半は〈スケート・パンク・ロック〉の影響で、スケボーは不良のイメージだったが、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で一躍、爽やかで健康的なスポーツに大変身。今、彼らの多くはパンクではなくヒップホップを聞く。ヒップホップの人気グループがコンサートで身につけたものは、店でのリクエストが激増するという現象もある。
 よくパレ・ド・トーキョーの中庭で滑っているトニーはボード歴10年になる。”V7 distribution” というチームの一員だ。”V7″ はボードや靴の輸入会社の名前で”street m”とともに彼のスポンサー。常識的な範囲で服、靴、ボードを必要なだけ使え、試合では両店の品を身につけるというのが契約だ。「フランスのスケボー熱はまだ低い。スポンサーになる会社も少ない」とトニー。3カ月おきに開催されるglissexpoはボードライディング関連商品の展示会。各種試合もあり、選手と提供会社の出会いの場所でもある。
 水曜日の夕方 “street machine” の店内は客が絶えない。話をした14歳の少年のように親同伴も多い。「もう少しクラシックな服装、例えばズボンなどもう少し細いほうが好きですねぇ」とスーツ姿のお父さん。ズボンを何本も試着する息子さんに、股下が長い、布はこっちがいい、デニムよりベージュ、とアドバイス。30分かけて4アイテム約2000Fのお買上げ。この店では、アメリカで流行りのストリートカジュアルを輸入し、常にパリのトレンドを1年分リードしているのが成功の理由だ。(美)
*street machine : 6 rue Bailleul 1er