ドグマの3弾目も生身の面白さ。 “Mifune” N° 447 1999-11-15 『ミフネ/Mifune』という不思議なタイトルの映画。そのミフネとは三船敏郎のことなのだ。が、何故こういう題名になったかというのは、映画を観てのお楽しみということにしておこう。 『ミフネ』は、トーマス・ビンターベアーの『セレブレーション/Festen』、ラース・フォン・トリアの『イディオット/ Idioterne』に次ぐ、かのドグマの3弾目である。デンマークの監督達が定めた禁欲のルール 十カ条(カメラは手持ち、人工的に照明を増やしてはいけない、音は同録、後から音楽をつけてはいけない、 etc.etc.)のドグマに従って、ショーレン・クラーグ=ヤコブセン監督はこの映画を撮った。 結婚初夜にケータイが鳴って、父の死を知らされたカレステン。コペンハーゲンから田舎に舞い戻った彼を待っていたのは、知恵遅れの兄、リュド。父と二人暮らしだった彼の面倒を誰がみるのか?カレステンは、新妻と前途が約束されていた仕事をほったらかしにして田舎に留まる。リヴァは、コールガール。同じ組織で働く女同士の結束は堅い。しかし、この仕事にほとほと嫌気がさしていて、心機一転、仲間達のバックアップを受けて、住み込み家政婦の口をみつける。こうしてカレステンとリュドの所にリヴァがやって来る…。 ドグマの作品は面白い。今の映画の傾向:作り込みすぎて塵ひとつ落ちていないようなクリーンな画面、観客の感情を昂揚させようとする作為的な効果、etc.を排除しただけで、こんなに映画が新鮮になる。そこで語られる内容への賛同・反対や好き嫌いは別にして、映画が生身の人間のように呼吸しているのが良い。 ちなみにドグマ第4弾は、俳優のジャン=マルク・バールが監督、エロディー・ブシェーズ主演の『ラヴァース』。(吉) Share on : Recommandé:おすすめ記事 【第18回キノタヨ現代日本映画祭】映画を介した日仏の文化的対話へ。名優・役所広司の特集上映も。 【シネマ】ショーン・ベイカー『Anora』公開。『プリティ・ウーマン』への30年後の返答。 【Cinéma】根源的な映画の喜び、オディアールの新たな代表作『Emilia Perez』。 【シネマ】70年代日本のウーマンリブを語る『30年のシスターフッド』。上映とトークの会(無料) 話題の政治劇 『クレムリンの魔術師』ベストセラーが舞台に! 【シネマ】円熟の秋のミステリードラマ 『 Quand vient l’automne 』