前者は、集団で活動している15のグループの展示だが、これは展示現場そのものが活動の場であって、ある作品を展示するという従来の機能からはみだしたものである。 造形美術だけでなく、彼らの表現手段は音楽やデザイン、都市計画、建築、マルチメディアにまで拡がり、集団で活動するばかりでなく、そこにひとつのアクティヴなゾーンを形成することにあるから、シチュアショニストの「状況の再構築」やハキム・ベイの思考を参照しているのだろう。しかし、このような目論見は本来、美術館という制度の外にあって初めて価値を帯びるのだから、これは美術館に取り込まれてしまったのかあるいは逆なのかは問われるべきだろう。 後者は、美術表現がどのように社会性を取り込んでいるのかといった問題からアプローチしている。 これはたいへん難題である。過去、大戦時の「時代の証言」から、社会性そのものを体現するアートへと言説は変わろうとしている。むろん、それは「社会主義写実主義」ではないが、社会性の体現とはどのような様式によるものか、何をさすのか明確でないからである。社会的なテーマを取り上げれば、そのまま芸術になるわけではないのは自明である。 ここでは、ゆったりおとなしい表現が多い。今日の世界の凶暴さと暴力と苦痛や絶望や、こうした状況への批判は垣間見られない。ただガダ・アメールやジャメル・タタの絵画の中にうっすらと現代の憂鬱がただよっている。 最後に観たティナ・バーニーとD・イルクの「ロ−ド・アイランドの夏」というビデオ・ドキュメントが、唯一、爛熟した資本主義帝国アメリカの現実感覚をさり気なく暴いているようにみえた。 (Kolin) “ZAC 99” は10月末で終了。 “[CORPS]SOCIAL” は11月16日まで。 *Ecole des Beaux-Arts :13 quai Malaquais 6e |
Une Passion Francaise 南仏の港町セート生まれ、報道写真家ロジェ・テロンがコレクションを始めた1960年は、写真はまだ芸術的価値がほとんど認められていなかった。パリ界隈の蚤の市で買い集め、売り、買い足すうちに、現在個人所蔵では世界で最も重要なコレクションのひとつになった。ここでは、写真の創成期1850年代から1970年代までの作品240点が展示される。 18世紀、貴族の若者たちはギリシア、エジプトと船で地中海を巡った。1850年代にはその航路を写真家たちが、50キロもある機材を担いでたどる。セート港の帆船に始まり、アテネのアクロポリス、まだ砂をかぶったエジプトの遺跡と、導入部はコレクターの個人的なロマンを感じる。そしてサラ・ベルナール、ユゴー、サルトルなどのポートレートや、1900年前後の近代化していくパリやマルセイユ、またシュルレアリスムの作品などが続いていく。写真は時の証人であり、饒舌な表現者でもある。ル・グレー、ナダール、カルティエ・ブレッソン、ケルテスetc… 写真が好きでたまらない撮影者、そしてコレクター。最後のラルティーグ、マン・レイ、タバールの部屋には作品と共に、彼らに捧ぐ尊敬と憧憬をこめたテロンの言葉が収められている。(仙) *Maison Europeenne de la Photographie : 5-7 rue de Fourcy 4e (月火休) 1/9日迄 |
ヌーヴォー・レアリスムの一端を担ったイギリス人RUMNEYの60年代と80年代の作品。11/13迄 Galerie Lara Vincy : 47 rue de Seine 6e ●Robert RYMAN (1930-) ミニマルアートの代表的作家。白い塗料の陰影が繊細に輝く。11/20迄 7L : 7 rue de Lille 7e ●< Quatre Artistes de Tunisie > チュニジア出身のアーティストEl-Kamel, Bouabana, Triki, Hajeri-Villeら4人の作品。11/21迄 Centre Wallonie-Bruxelles:127-129 rue St-Martin 4e (月休) ●LEE Ufan (1936-) 70年代の平面作品から石と金属を素材とする近作の立体作品まで。11/27迄 Galerie Liliane&Michel Durand-Dessert: 28 rue de Lappe 11e ●Karl GERSTNER (1930-) 「色」そのものを厳密かつ叙情的に探究する。12/2迄 Galerie Denise Rene : 22 rue Charlot 3e / 196 bd St-Germain 7e ●ALECHINSKY (1927-) 昨秋ジュ・ド・ポーム美術館で回顧展が行われて話題を呼んだアレシンスキーの近作12点。12/9迄 Galerie Lelong : 13 rue de Teheran 8e ●Nja MAHDAOUI (1937-) チュニジア生まれ。アラビア文字のカリグラフィー。意味を離れ、文字自体が持つ美しさが踊りだす。11/4~1/8迄 Comptoir des Ecritures: 35 rue Quincampoix 4e ●Honore DAUMIER (1808-79) 風刺画で知られるドーミエの大回顧展。版画、絵画、彫刻など約300点。1/3迄 Grand Palais (火休) ●Nurcan GIZ にじみ、重なるモノクロームの色と線。トルコ人作家の作品。11/5~12/31 Galerie GNG : 3 rue Visconti 6e ●< De la Celestine a Dora Maar > 1979年以降に美術館の所蔵となったピカソの作品からのセレクション。1/3迄 Musee Picasso : 5 rue Thorigny 3e (火休) ●<La mort n’en saura rien / Relique d’Europe et d’Oceanie > 装飾が施された遺骨。ヨーロッパ、アフリカ、オセアニアの死に対する思想の類似・相違点を見る。1/24迄 Musee Naional des Arts d’Afrique et d’Oceanie: 293 av.Daumesnil 12e (火休) ●TURNER et la Seine ノルマンディーからパリまでセーヌ川をたどるターナー(1775-1851)の風景画。1/30迄 Pavillon des Arts: Forum des Halles, porte Rambuteau (月休) ●Le Maroc de MATISSE マチスは1912年と13年にモロッコを訪れ強い影響を受ける。絵画作品や関係資料を展示。1/30迄 Institut du Monde Arabe: 1 rue des Fossees-St-Bernard 5e (月休) |