連帯市民契約 PACSが誕生。


 昨年10月以来、国民議会で与野党議員こもごもに修正に修正を重ね、10月13日の最終読会で採択されるまでに丸一年かかった連帯市民契約PACS(Pacte civil de solidarite)法。カトリック社会の核をなしてきた「結婚」と同等の権利義務を同性愛者カップルにも認めるPACSに対し、現代の風潮を認めようとしない一部のカトリック系家族主義者たちは激しく反発する。反対派議員たちは、PACSにより税制面で既婚者より婚姻外カップルの方が有利になる点を突き、憲法が保障する平等の侵害とし、PACSの適法性の審査を憲法評議会に要求。1カ月後にその回答が出されるが、問題がなければ大統領が年内にPACSを発布することになる。
●PACS:性を問わず共同生活を送るカップル (親族同士は除く) が交わす契約で、小審裁判所書記課に登録する。第三者が異議申し立てできる。両者の同意、または片方の婚姻、死去により解消される。片方の一方的な解消申請の場合、相手にそれを通告してから3カ月後に PACS 契約が無効となる。
●社会保障:片方の保険で相手も給付を受けられる。PACS契約以前に受けていた単親手当や寡婦年金などは停止される。
●住宅・相続:片方が賃貸借契約を結んでいて、当人が死亡したり支払い不可能になった場合、相手がその契約を引き継いだり更新できる。相続・贈与は37万5千フランまで控除。それ以上、10万フラン未満は40%、10万フラン以上は50%の相続・贈与税を課税。相続は契約時から、贈与は2年後に適用される。
●義務:片方が負債を負ったり家賃不払いなどの場合、相手は「連帯」し「相互に援助する」ことが義務付けられる。
●所得申告:PACS契約後3年目から1戸所帯として申告できる。
●外国人の場合:PACSは結婚のように滞在許可にはつながらないが、滞在条件としての評価の一部になりえる。
 PACSとは別に、フランスには80年代から条項や判例が認めてきた婚姻外の共同生活、「内縁関係concubinage」がある。内縁関係は市役所に記録されるのだが、内縁者はあくまでも”他人”として扱われ、PACSが規定する相続権や経済的連帯義務は伴わない。が、1989年に破棄院が同性愛者の内縁関係を拒否したため、現在は男女のカップルに限られている。このことからも、PACSによって個人の自由が認められたことと、同性のカップルも社会の構成員として認知されたことは革命的といってもいい。少なくともホモセクシュアルへの排斥感情は弱まるはずだ。
 しかし、結婚も養子も認められない同性愛者たちにとってPACSは、彼らへの差別に対する闘いの第一歩にすぎない。ゲイやレスビアンも家庭を築き子供を育てる権利があると、彼らは主張しつづけることだろう。男と女、男と男、女と女の組み合わせがあって当然なのだから。ただ子供が同性の親を受け入れるかどうかは別の問題だが。(君)


内縁カップル数

446 000組 1975年

810 000組 1982年

1 700 000組 1990年

2 500 000組 1996年

*内縁関係にあるフランス人(20~49歳)は約19%。内縁カップルの子供数は平均1.5人(婚姻者 : 2.4人)。10人の子供のうち、4人は婚姻外出産。(Quid’99)