F・ウィテカーが魅力的だ。 “Ghost Dog” N° 445 1999-10-15 ジム・ジャームッシュの最新作『ゴースト・ドッグ』は、まずなんと言ってもタイトル・ロールを演じるフォレスト・ウィテカーの魅力。映画の中で、クマ呼ばわりされる体型(元アメフト選手)から醸し出される(本当は獰猛なのかもしれないけど)愛くるしくて撫で撫でしたくなってしまう感じがグー。一方で、今時のフランスの流行語で言うなら “Zen”、つまり物事に動じず超然とした感じがまたグー。何故って彼は、我が国の、サムライの道を説いた”葉隠”を座右の書としているのだから当然だ。 現代NY、摩天楼街の片隅、ビルの屋上で伝書鳩と暮らすゴースト・ドッグの生業は殺し屋。対峙するマフィア一味の中に、彼が恩を受けた男がいる。この構図の中で、彼は最後までサムライの掟を貫いた。命を賭けて恩を返した。 現代NYでこんなこと、時代錯誤? 彼はドンキホーテみたい? マフィア一味も古色蒼然たるイメージのまんまで… そこにジム・ジャームッシュのポエジーがある。掟のない今だから、自ら定めた掟に忠実な奴はどこか恰好いい。映画の主人公は、やっぱりこうじゃなきゃね。 別に”葉隠”でなくても良いのだ。ジム・ジャームッシュだって、自らのシネアストの道を決して外れない映画作りをしてきたから信用できる監督なのだ。 ちなみに、音楽センスのある映画監督といえばジャームッシュとヴェンダースが両横綱。今回も(音楽に無知な(吉)は資料で調べた)ヒップホップのセロニアス・モンクといわれているRZAとのコラボレーションが大成功している。おまけに、フェリックス・ザ・キャットやウッド・ペッカー、テックス・エイヴリーのアニメも登場して、楽しい! やっぱりジムってセンスいいなー。(吉) Share on : Recommandé:おすすめ記事 クラピッシュ監督初のカンヌ公式作品『La Venue de l’avenir』。 2025年 カンヌ映画祭だより② 初カンヌの石川慶監督ほか、日本映画百花繚乱の年。 【シネマ】『 Partir un jour 』カンヌ映画祭の開幕を飾る、フランスのミュージカル映画。 第78回カンヌ映画祭ラインナップ発表。早川千絵監督・初コンペ入り!世代交代が進み、巨匠感は薄めに。 第5回ランス・ポラー映画祭 黒沢清監督のオマージュ上映と無料の映画レッスン(マスタークラス)も。 【シネマ】闘牛士の孤独が映り込むドキュメンタリー。『Tardes de soledad』