● Eyes wide shut ![]() ● Voyages ![]() 長い歴史が刻まれた顔、顔…そのまわりに漂う時間が急に弛緩し 、中庭のざわめき、父のかすかなイビキ、外の雨といったオフの音が入り込み、その瞬間、彼らの深い孤独に触れる。エマニュエル・フィンキエル監督の処女長編だ。(真) ● La Lettre 請われるまま年上の男の妻となったカトリーヌは、自分に思いを寄せる人気歌手を密かに愛するようになる。罪悪感にさいなまれたカトリーヌの衝撃的な告白は、夫を死に追いやる。歌手と結ばれることを拒み姿を消すカトリーヌは、旅先から幼なじみの修道女に一通の手紙を送る。 18世紀にラファイエット伯爵夫人が書いた小説『クレーヴの奥方』を、オリヴェイラがじっくりと映画化した。 話の舞台は現代のパリに移されているのに、登場人物たちは、時間からおきざりにされ、いつの時代とも判断しかねる「独特の空間」の中を静かに行き来する。 夫と自分の描く理想の愛との間を揺れ動く微妙な女の心情を、しっとりと美しくキアラ・マストロヤンニが演じている。(海) |
