” (…) et les sentiments que vous aviez éprouvés pour moi, personne ne l’a senti, j’ai les larmes aux yeux (…)” |
「あなたが私に対して抱いてくれた感情は、誰にも理解できなかった。涙が出ます」という弁護士宛ての遺書を残し、6月2日、アリ・エルハジリさんは、モンペリエに近い刑務所内で首を吊った。同じ日に、詐欺と身分を偽った罪で、フランス領土滞在禁止5年の刑に処されたばかりだった。 アリさんはチュニジアに生まれ、70年代に職を探してフランスにやってきた。フランス人になりきりたい一心から、得意だったアラビアの楽器ウードの演奏を止め、アラビア語も話さなくなる。辞書でフランス語の気取った表現やことわざを丸暗記、ピエール・カルダンを着て、メルセデスを乗り回し、家族のいたトゥーロンを離れてセット、モンペリエと引っ越しを重ね、15年前には、パリで生まれたロベール・マイヤールさん (本人は重病で入院中) の出生届と身分証明書を手に入れる。仕事仲間や近所の人、25歳と12歳の二人の息子さんも “ロベールさん”とばかり思っていたが…。 1997年8月、不運にも車のシートベルトをしていなかったことで、警官に呼び止められたことがきっかけになり、小切手詐欺をやっていたことがわかる。そして9カ月にわたる調査で “ロベールさん” がアリさんであることが突き止められる。 「エルハジリさんのかわりに責任をとることがつらい。嘘が恥ずかしい。自分の顔を見ることもできない。さようなら」と遺書は結ばれ、”ロベール・マイヤール”と署名されている。(真) |