ムナ Mouna 35年間、パリの街頭で平和を訴えてきたが、88歳で亡くなった。




“des vélos, pas trop d’autos, des gazons, pas de bétons et des moutons, pas de canons.”
大きなジェスチャーとしゃがれ声で、「自動車はほどほどにして自転車を、セメントではなくて芝生を、大砲ではなくて羊たちを」と演説するムナさんの姿は、70年代、80年代のカルチェ・ラタンに欠くことのできない風景だった。どこへ行くにも自転車で、パリから200キロ離れた町のジャズ祭にも、愛用の自転車でやってきたのを、僕は目撃したことがある。
晩年はポンピドゥーセンター前がお気に入りで、環境保護や平和運動のバッジで覆われた帽子をかぶって演説する彼のまわりは、聴衆で溢れた。5月8日、パリは、そのどこまでもアナーキーでユーモアに溢れた声を失ってしまった。88歳。
本名はアンドレ・デュポン。9歳で孤児になり、13歳から工場で働き、16歳で海軍に入隊したが5年後に追放される。その後レストランを開いたりしたが破産。52歳から街頭での演説を始める。「大笑いで闘おう」と寛容精神を訴え、何度か選挙に出馬したこともある。彼が元気だったら、NATO軍のユーゴ空爆にどんな風に噛みついたのだろう? (真)